地球は46億年前に誕生し海は44億年前にできたと考えられ、38億年前頃に海中に生命が誕生したといわれている。生命の誕生には遺伝的命令を伝える分子のDNAと遺伝子の働きを制御するのに重要なRNAを形成するのに必要な核酸塩基5種類が必要だが、海中でどのようにして誕生したのかはよく分かっていない。4月26日に北海道大学などの国際チームが米国やカナダ、オーストラリアに落下した隕石を研究したところ、生命誕生に必要な物質が宇宙からもたらされたという説を補強する結果が示された。
生命進化で海の果たした役割は大きい。太古の海水の塩分濃度と体内の塩分濃度は同じ0.9%という説がある。そうであるならば、人は太古の海の環境を体内に宿していると言えよう。
生命の設計図であるDNAを構成する物質がどこから来たのかはいまだに論議されている状況だが、北海道大学などの国際チームが隕石の中から生物の遺伝的命令を伝える分子のDNAと遺伝子の働きを制御するのに重要なRNAを形成するのに必要な核酸塩基5種類すべて検出したことを、科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」で発表した。
【北海道大学】炭素質隕石から遺伝子の主要核酸塩基5種すべてを検出~地球上での生命の起源・遺伝機能の前生物的な発現に迫る~
炭素質隕石から見つかったのはグアニン、アデニン、ウラシルの3種類だったが、研究チームは1969年にオーストラリアで見つかったマーチソン隕石など3つの炭素質隕石を、ごく微量の物質でも検出可能な超高感度の計測装置で再分析。その結果、5種類の塩基を検出できた。
この炭素質隕石や彗星などにより、40億年ほど前の地球に供給された有機化合物が生命誕生の材料となった可能性が高まったと考えられる。
既にリン酸や、RNAを構築する糖のリボースは見つかっていたことから、DNAを形作る糖のデオキシリボース以外、核酸に含まれる物質の大半が炭素質隕石にあったことになる。北大の大場康弘准教授は「地球の生命の根源である核酸の材料が、宇宙から飛来した可能性がさらに高まる結果となった」と話す。
今回使用した最新の分析手法は、探査機「はやぶさ2」が小惑星リュウグウから地球に持ち帰った試料への応用も予定。リュウグウは今回の隕石と同じ炭素質で、地球誕生以前の物質の組成を隕石よりも良好な状態で保っているとみられる。研究チームはリュウグウ試料の分析にも参加しており、大場准教授は「地球上の生命や物質の進化への理解が飛躍的に進むのではないか」と語った。
参考
隕石から塩基全5種の検出成功 はやぶさ2試料分析にも応用へ 北大など
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2204/28/news091.html
隕石から遺伝子に必要な分子検出、生命の起源「宇宙説」補強か
https://jp.reuters.com/article/science-meteorites-idJPKCN2MK064
地球46億年の歴史と生命進化のストーリー
https://www.jamstec.go.jp/sp2/column/04/
wiki 海水
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E6%B0%B4
コメント