週休2日制より生産効率とモチベーションが上がる週休3日制だが日本で行うには多くの課題が

幸福

2022年6月から12月まで英国企業61社と従業員約2900人が参加した過去最大規模の週休3日制の実験で、参加した企業の3分の1が週休3日制を恒久化する用意があると回答し、従業員の15%はいくらお金を積まれても週休2日に戻れないと話したという。

EUを離脱した英国も景気低迷に悩まされている

英国は2016年6月23日の国民投票でのEU離脱選択から約3年半の歳月を経て、離脱協定に基づき2020年1月31日にEUを離脱した。これにより急速なインフレ、政治の不安定性、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)の影響などが多くの英国企業を圧迫している。

この厳しい経済状況の中で英国企業61社と従業員約2900人が参加し、2022年6月から12月まで自主的に週休3日制を採用した。
その結果、参加した企業でこの実験の停止を決めたのは3社だけで、3分の1の企業が週休3日制を恒久化する用意があり、2社はさらなる時短を検討しているという。

週休3日制のメリット

当初、景気低迷のさなかに勤務時間の短縮プログラムを開始することは問題があると考えられたこともあった。
しかし調査を主導した米ボストン・カレッジの経済・社会学者ジュリエット・ショア氏は「企業が週休3日制を機能させることがずっと難しくなるかと考えていたが、答えはノーのようだ」と指摘。

同氏の研究では以前から、週休2日制がもはや現代の従業員、特に育児や介護を担う人のライフスタイルに適合していないことが示されていたという。
週休3日制のメリットは

①働き方の柔軟性:週休三日制になると、週に3日間の休暇が得られる。このため、個人のライフスタイルに合わせて働き方を調整しやすくなり、趣味や家族との時間を増やすことができる。
②精神的健康の改善:週休三日制により、週に2日間以上の休暇が得られることで、疲れを回復し、ストレスを減らすことができる。また、うつ病や不安障害などのメンタルヘルス問題のリスク回避ができる。
③生産性の向上:長時間働き続けることは、生産性を下げることがある。週休三日制は、従業員が疲れを回復し、集中力を回復するための時間を持つことで、常習的な欠勤や離職者が減少し、従業員の生産性が向上する。
④労働時間の削減:週休三日制になると、1週間の労働時間が削減される。これにより、過剰な労働時間や過度のストレスを減らし、従業員の燃え尽き感の低下させることができる。
⑤雇用の創出:週休三日制は、従業員の労働時間を削減するため、追加の従業員を雇用する必要が生じる可能性がある。これにより、雇用機会を増加させることができる。

などが指摘されている。

今回の実験で特筆すべきことは、参加者2900人のうち週休3日制をやめたいと回答した人はゼロで、15%はいくらお金を積まれても週休2日制には戻れないと答えていること。
英国の実験と同様の実験を小規模ながらすでに米国やアイルランド、オーストラリアの企業を対象として実施されており、同様の結果が示されているという。

週休3日制のデメリット

多くのメリットが存在することがこの実験で裏付けられたが、デメリットはないのだろうか。

考えられるデメリットとして次の5点が上げられる。

①働き方の不安定性:週休三日制は、従業員にとっては柔軟性が高い反面、企業にとっては生産性や効率性の維持が難しくなる場合がある。また、業務の状況によっては週休三日制を導入することができない場合もある。
②収入の減少:週休三日制は、週の労働時間が削減されるため、給与も減少する可能性がある。特に、時給で働いている場合には、週の労働時間が減少することにより、収入が減少する。
③仕事量の増加:週休三日制になると、残りの4日間の仕事量が増加する。これにより、1日の労働時間が増え、ストレスが増大する可能性がある。
④休日の短縮:週休三日制になると、週に2日間の休暇が得られるが、1日の休日が短くなる可能性がある。これにより、十分なリフレッシュやプライベートな時間を確保することが難しくなる可能性がある。
⑤業務の遅延:週休三日制により、社員が不在になる日が増えるため、業務の遅延や継続的な業務管理が困難になる場合がある。また、週休三日制のために、業務の時間配分が難しくなる。
日本で行うには社会構造の変革も必要

では現状の日本における週休三日制の課題としては、以下のようなものが考えられる。

①労働文化の変革:日本では長時間労働が一般的であり、労働者が仕事に多大な時間とエネルギーを費やすことが期待されている。そのため、週休三日制を導入するには、従来の働き方や労働文化そのものを変革する必要がある。
②働き方の柔軟性の確保:週休三日制を導入する場合、従業員の働き方や休日の調整を柔軟に行うことが求められる。しかし、企業によっては、従業員の柔軟な働き方に対する制約がある。
③生産性の維持:週休三日制を導入することにより、労働時間が短縮され、生産性が低下する可能性があるため、企業には、労働時間の短縮にもかかわらず生産性を維持するための工夫が求められる。
④従業員の負担増:週休三日制を導入する場合、従業員が担う業務量が増加する可能性から、短時間での業務遂行ができる環境整備と教育が求められる。
⑤適用範囲の限定:週休三日制は、すべての職種や業界に適用できない。特に、サービス業や製造業など、人手が必要な業界では、週休三日制を導入することが難しい。

また、従業員の労働時間や休憩時間の制限、残業代の支払いなどの法的整備や、製造業や医療業界では、機械や医療器具の点検やメンテナンスなど、常に従業員が出勤している必要がある場合が想定される職場での実施は困難を伴う。

週休三日制実施に当たっての最大の困難要因は、前例踏襲の企業風土と厳格な出退勤管理や勤務形態が柔軟な働き方に制約をかけていることであろう。
ただコロナ禍でテレワークのメリットを感じている職場から少しずつ変革して行ければ、日本もそう遠くない時期に週休三日制が多くの職場で採用されるかも知れない。
参考
週休2日制に戻る企業ほとんどなし-世界最大の週4日勤務実験の結果
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-02-21/RQESWET0AFB401
英国のEU離脱と離脱後の欧州ビジネス環境の変化
https://www.jetro.go.jp/world/europe/uk/referendum/
【ChatGPT】
・週休三日制のメリットを教えて
・デメリットを教えて
・日本における週休三日制の課題は何か
・日本における週休三日制の従業員の柔軟な働き方に対する制約とは何か

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