カメラに別の「存在しないもの」を表示させる技術開発に成功 見えないものを見せ、誘導するサイバー攻撃が可能

テクノロジー

数十年後の未来、人々はメガネや皮膚などに装着したウェアブル端末から常に情報を得たり、周囲のセンサーに情報を発信して生活するようになる。
例えばエレベーターに乗って移動するときも、人は考えただけでウェアブル端末から行き先を指示し、何も触らずに目的の階で降りることができる。
これは夢の話しではない。



すでに我々の身の回りにはAIと結びついた小型の情報端末が様々なところで活用している。
ただ我々が見ている情報が正しいものばかりではない。AIの進歩で本物と見分けが付かないレベルの合成写真や偽音声が出回っており、犯罪に使われている。
さらに今回、電波を使い、画像認識システムをだまして存在しないものを見せる手法が提起された。この技術が恐ろしいのは、電波を使って遠距離からイメージセンサーに異常を起こさせ、攻撃者が見せたい映像を対象者に見せることができることだ。

Signal Injection Attacks against CCD Image Sensors

Signal Injection Attacks against CCD Image Sensors
Since cameras have become a crucial part in many safety-critical systems and applications, such as autonomous vehicles and surveillance, a large body of academi...
センサー異常を起こす確率の成功率は99%

我々が使っているカメラのイメージセンサーのほとんどがCMOS、またはCCDセンサーと呼ばれるものだ。
CMOSセンサーは製造コストが安く以前より性能も向上したため、多くのモバイル機器やIoT機器、自動運転車、監視カメラなどの民生機器に使われるようになった。
それに対しCCDセンサーは、優れた光学性能を持っており、高速移動の物体でもゆがみのない画像を撮影できる能力があるが、その分コストが高いという弱点がある。活用される分野は、天文学から顕微鏡、工業オートメーション、軍事監視・防衛システムまで多岐にわたる。



今回ゆがみのない精密な画像を撮影できるはずのCCDセンサーに電磁波干渉(EMI)を照射する実験を英オックスフォード大学の研究チームが行ったところ、画像認識システムをだまして存在しないものを見せることができたという。
電磁波干渉とは、強力な電磁波(電波その他)で対象の受信に障害が発生したり、電子機器が誤動作することをいう。

昭和の時代のテレビでは、放送がアナログであったため、電波塔から来た電波と、山などで反射した電波が同時に受信され、映像が二重になることもあり、電磁波干渉が珍しくなかった。
今回の異常を起こさせる方法は次の通りである。

①任意の入力画像から各画素の輝度を計算して送信する信号を抽出する。
②抽出した信号を補間して異なるサンプルレートが一致するようにする。
③補間した信号を搬送波に変調して無線で送信する。

実験での画像では、画像の文字が読めるレベルのきめ細かな制御ができたり、バーコードスキャナーの読み取りを99%の確率で失敗させることができたという。



研究チームは、CCDセンサーがその構造上、電磁波を用いた攻撃に対して脆弱であることを実証し、全てのCCDセンサーで起こることを実験から証明した。
参考
カメラに「存在しないもの」を見せるサイバー攻撃 離れた場所から電波を送信 成功率は99%
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2210/03/news036.html
wiki 電波障害
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%BB%E6%B3%A2%E9%9A%9C%E5%AE%B3

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