化石燃料を使ってもカーボンニュートラルに!大気中のCO2を前処理なく高濃度メタンに合成する技術

テクノロジー

大気中の希薄な二酸化炭素(CO2)から、前処理をせずに都市ガスの主原料であるメタンガスを高濃度に合成する技術を、産業技術総合研究所などの国際研究グループが初めて開発したと発表した。温室効果ガスであるCO2を産業界の排ガスや大気中から回収することで、温暖化対策と役立つ物質に変えて利用する「CCU(CO2回収利用)」技術への貢献が期待されている。


すでに「地球温暖化対策のための税」を取られている

みなさんは、二酸化炭素の排出を制限し、排出された二酸化炭素に税金をかける「地球温暖化対策のための税」が平成24年10月1日から導入されたことをご存じだろうか?
この税は、原油・石油製品(ガソリンなど)、天然ガス、石炭といったすべての化石燃料に対して、環境負荷(CO2排出量)に応じて広く薄く公平に負担を求めるもので、この税による追加的な家計の負担は、燃料などの使用状況によって異なるが、一世帯当たり1か月平均は約100円程度(平成28年度~)と見込まれている。しかし大量にエネルギーを使う企業にとっては莫大な経費となってのしかかってくる。そこで二酸化炭素(CO2)の排出量と吸収量とがプラスマイナスゼロの状態にすることが重要となってくる。


今回の研究のポイント
CO2分離回収の前処理が不要のため、少ないエネルギー消費で希薄なCO2を直接利用
100 ppm程度の希薄なCO2を最大で1000倍以上高濃度のメタンに転換可能な二元機能触媒を開発
大気中に既に放出された希薄なCO2の直接利用により、カーボンニュートラル社会の実現に貢献

低炭素社会を視野に、CO2を吸着する性質を持つナトリウムやカリウム、カルシウムなどと、ニッケルを組み合わせた触媒を活用する研究が進んでいる。この触媒は2段階の働きを持ち、まず気体の成分のCO2を吸着。続いて水素を与えると、ニッケルの触媒作用により、吸着していたCO2と反応してメタンと水ができる。こうして気体からCO2を取り出し、有用なメタンに変えられる。従来の研究では、発電所の排ガスなど、産業界から生じる比較的高濃度のCO2を含む気体が対象となってきた。そこで研究グループは、CO2を低濃度にしか含まない大気などでも機能するよう、この触媒に独自の調整を追加。さまざまな濃度のCO2を含む気体を使い、触媒の性能を確かめる実験が行われた。

実験結果

大気中からのCO2回収に実用化されることを想定し、大気と同じ20%の酸素を含む気体でも実験した。ニッケルは酸素に触れて酸化すると、触媒としての性質を損ねてしまう。実験では性能がやや低下したものの、CO2の吸着とメタンへの変換に成功した。
従来のCCU技術では一般に、CO2を変換する前に、吸収剤で濃度を100%近くに高める処理が必要で、多くの熱エネルギーを使う。これに対し今回の実験で用いた触媒を使うと、吸着したCO2を放出するのは熱を吸収する反応で、メタンができるのは熱を発する反応。2つが同時に起きるため原理としては、外部から熱を加える必要がない利点があるという。今後は、触媒重量当たりのCO2回収量とメタン生成量がさらに高い二元機能触媒の開発を目指すとともに、実用化を目指した高効率な反応プロセスの開発を行うという。
研究グループの産総研エネルギープロセス研究部門エネルギー変換プロセスグループの倉本浩司研究グループ長(反応プロセス工学)は「CO2を大気や排ガスから直接メタンに転換する技術を、CCUの切り札の一つとして作り上げ、低炭素社会に革新をもたらしたい」と述べている。
研究グループは産総研とオランダ・デルフト工科大学で構成。成果は米化学誌「ACSサステイナブル・ケミストリー・アンド・エンジニアリング」の電子版に2月25日に掲載された。



参考
https://scienceportal.jst.go.jp/newsflash/20210315_n01/
https://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2021/pr20210225_2/pr20210225_2.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%B3
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201210/1.html

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