甘酒は初詣でのふるまい酒や、夏の飲み物として、今でも私たちにとっては馴染み深い飲み物です。冬に飲まれることが多いことから甘酒といえば冬の飲み物というイメージがありますが、江戸時代では夏バテ防止や体力回復に効果的ということもあり「夏の栄養ドリンク」として親しまれていました。最近、甘酒の持つ高い栄養効果と健康志向から、「飲む点滴」「飲む美容液」として注目が集まっています。知っているようで知らない甘酒の秘密や効果を確認していきましょう。
1 甘酒の歴史
2 甘酒の栄養素や有効成分
3 5つの健康効果
4 製法による効果の違い
5 注意点
「甘酒」の起源は古墳時代と言われています。米麹を混ぜて60℃ぐらいの温度で保温し、一晩程度おくだけで出来るため、「一夜(ひとよ)酒」とも呼ばれていました。
奈良時代の歌人である山上憶良が、『貧窮問答歌』において「糟湯酒」に触れており、その頃から既に酒粕による甘酒の原型があることが分かります。
江戸時代には行商が夏に甘酒を売り歩いており、俳句でも甘酒は夏の季語となっています。 かつては海水浴の際に「甘酒がよく飲まれた」との文献もあるそうです。
エネルギー | たんぱく質 | 脂質 | ナトリウム | リン | |
---|---|---|---|---|---|
甘酒 | 81kcal | 1.7g | 0.1g | 60mg | 21mg |
(100gあたり)※文科省の五訂増補 日本食品標準成分表 の甘酒欄より抜粋
・ブドウ糖
・必須アミノ酸:トリプトファン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジン
・ビタミンB群:ビタミンB1、B6、B12
・その他ビタミン類:パントテン酸、イノシトール、ビオチン、葉酸
・麹菌の酵素:アミラーゼやプロアテーゼ、リパーゼ、セルラーゼ など
① 脳を活発にするブドウ糖
甘酒には大量のブドウ糖を含んでおり、朝に飲むと脳の活動が活発になり、脳をスッキリさせる効果が得られます。このことが「飲む点滴」といわれる理由です。集中して作業を行う前に飲むのも有効です。
② 豊富なアミノ酸で体調維持
人間の身体は約20種類のアミノ酸で構成されており、必須アミノ酸が不足すると体調が崩れやすくなります。甘酒の豊富なアミノ酸成分が、体調の維持を手助けしてくれます。
③ ビタミンB群で代謝を促進し肌荒れ解消で美肌に
発酵の過程で豊富なビタミンが生成されます。ビタミンB群は代謝に役立ち、血行を促進させることで体内の老廃物も排出しやすくなり、疲労やストレス、肌荒れの解消と美肌に効果があります。“麹菌”に含まれるビオチンには肌荒れ、肌のくすみなどの解消に、“麹菌”の酵素には抗酸化作用があり、老化の予防にも活用できます。最近は「甘酒パック」をする人も出てきており、お肌パック専用の「甘酒」も売られています。薬では無いので効果が出るまでに数週間から数ヶ月かかることもあるそうです。(パッチテスト等を行い肌にアレルギー反応が出ないことを確認してください)
④ オリゴ糖で腸内環境の改善で便秘の予防・解消
オリゴ糖はビフィズス菌などの善玉菌のエサになり、腸内で善玉菌をどんどん増やしてくれます。腸内環境の整え、便秘解消、免疫力アップに役立ちます。また、腸内環境が整うことで間接的に美容にも効果を与えてくれます。
⑤ 熱中症予防に最適
厚生労働省が配布している「熱中症診療ガイドライン」によると、熱中症を予防するには100mlあたり40~80mgのナトリウムが含まれる飲み物が適していると書かれており、甘酒のナトリウム含有量は、100mlあたりおよそ60mgなので、熱中症予防に適した飲み物といえます。
私達が知っている甘酒には、酒粕から作られるものと、麹やお米で作られるものとの2種類の甘酒を飲むことができます。
酒粕から作られた甘酒は、酒粕の栄養素がたっぷり詰まっており、当然カロリーも高くアルコール分が残っています。残留しているアルコール分は1%以下なので、酒粕で作った甘酒はソフトドリンクとして扱われます。酒粕から作られた甘酒は、酒粕を買ってくれば誰でも簡単に作ることができます。
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麹とお米から作られる甘酒は、お米を材料としているのでアルコール分を含まず、発酵によりブドウ糖が生成されるのでカロリーが低く、大人から子ども、高齢者まで安心して飲用することが可能です。健康と美容に効果が高いのは「麹とお米から作られる甘酒」です。手作りする場合はそれなりの知識と温度を一定に保つ機器が必要となり、完成まで6~8時間かかるのが難点です。
さらに玄米と麹から作られる玄米甘酒は、お米からつくる甘酒よりビタミン類が豊富となり、健康と美容に関心のある方におすすめです。
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① 適切な量を飲む
「飲む点滴」といわれるぐらいカロリーが高いのが「甘酒」です。いくら良い成分が多数含まれていても、多く飲んでしまうとカロリーオーバーに。食品成分表にもあるように甘酒100mlに対して約18gの炭水化物(糖質)が含まれ、コーラなどのジュース類より多くの糖質が入っているといえます。特に血糖値の高い人が飲むのはおすすめできません。飲む場合もかかりつけの医師とよく相談して、摂取量を決めてください。
② 甘酒だけを追加するとダイエットで逆効果も
甘酒には有効な成分が多数入っていますが、痩せさせる成分は入っていません(笑)。普段の食事のまま甘酒を飲むとカロリーオーバーになります。甘酒を1日200ml飲んだらご飯を1日1膳分減らすなど、「置き換え」を意識することが大切です。甘酒は健康的に痩せるために活用するという意識を持って飲みましょう。
今回は甘酒の栄養素や有効成分、健康効果に注意点のみを取り上げてみました。次回は飲む適切な量の具体例や効果的な時間や温度、甘酒を楽しむためのレシピを掲載する予定です。楽しみにしていてください。
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