日本で「イノベーション(技術革新)」が起こりにくいのは日本社会の構造的問題と人々の思考だといわれている。確かに伝統を守り保存することを大切にしてきた。地震や火山の噴火、津波といった自然災害が多い、この小さな島国での中で生きていくためには、「イノベーション」より「安心安全」こそが、日本の最重要項目だったのではないだろうか。
2021年8月までの世界遺産は1,154件(文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件)で、そのうち日本の世界遺産は25件(文化遺産20件、自然遺産5件)となっている。
外務省【我が国の世界遺産一覧表記載物件】
2022年2月までにユネスコの「無形文化遺産代表一覧表」には全世界530件が記載されており、日本からは「能楽」、「和食;日本人の伝統的な食文化 正月を例として」、「和紙:日本の手漉和紙技術」、「山・鉾・屋台行事」など22件が登録されていた。
【無形文化遺産オンライン】
11月30日には各地で伝承されてきた盆踊りなど、お囃子に合わせて踊る日本の民俗芸能「風流踊」を無形文化遺産に登録することが決まり、23件となっている。
【各地の盆踊りなど「風流踊」 ユネスコ無形文化遺産に登録決定】
日本では地域の伝統文化を守ることは地域活動を活性化し、地域の防災活動にも有効に働いてきたことが、災害が起きた時に地域の協力関係を保つために必要とされてきた。
行事を行う際は地域の総意が図られ決定されることで、日本で新しいことが生まれにくい土壌をつくりだしてきたのかもしれない。
「ロボット掃除機」といわれて「ルンバ」を思い出す人は多いと思う。「ルンバ」は発売されて20年にもなるという。日本メーカーにロボット掃除機をつくる技術がなかったわけではない。日本メーカーによるとロボット掃除機がろうそくにぶつかり火事になったり、人にけがをさせたりするリスクなどを取れなかったためだという。
それはドローンでも同様で、日本の空域規制に合わせて作ろうとすると高価になるため二の足を生んできたという。
日本メーカーは製品をつくるときに念には念を入れて考えつく限りの事態を想定し、対処策を事前に考え、最初から完璧なものを出そうとする。
その対極にあるのが海外メーカーで、取りあえずやってみよう、問題が起こったらその時に考えようとする姿勢の対極にあると言えよう。
EVの「自動運転車」で有名なテスラは2016年以降にオートパイロット稼働中のテスラ車が少なくとも30件の衝突事故を起こし、10人が死亡している。
11月5日には中国の広東省で、停車を試みようとしたドライバーの意思に反し、テスラ「モデルY」が突如高速走行を開始し、およそ2キロにわたり高速での危険な運転をしたため、高校生の歩行者および三輪バイクの運転手に衝突し、2人は死亡し、3人が負傷している。
この様子を収めた監視カメラの映像は激しく揺れており、相当の衝撃があったことがうかがえるが、テスラCEOのイーロン・マスクはこれまで事故について一度も謝罪していない。
念には念を入れる日本では新しい技術や発想が生まれないのも当然かもしれないが、反面「安心安全」が手に入る。
どちらが良いのかはわからない。あなたはどう考えるだろうか。
参考
「イノベーション」か「安心安全」か──念には念を入れすぎる日本の意外な効用
https://www.newsweekjapan.jp/tokyoeye/2022/12/post-136.php
時速198キロのモデルYが高校生らをひき殺す…テスラの「暴走事故」が世界中で批判を集める根本原因
https://news.yahoo.co.jp/articles/f3e1acdd5b0dd121f28488a1bcf6c9dd1cc13be3
テスラ車で10人が死亡しても一切謝罪せず…イーロン・マスクが超強気を貫く本当の理由
https://president.jp/articles/-/50728
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