『ブロークン・ブリテンに聞け』 ブレイディ みかこ著/講談社
この本は「EUの優等生」がなぜ今の状況となり、いかに疲弊しているかが描き出されています。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』や『ワイルドサイドをほっつき歩け』が大ロングセラーのブレイディみかこさん。
本書はこの2冊と違い、2018年から2020年夏までの英国社会を鋭く批評した時事エッセイ集です。
英国は1976年の経済破綻(英国病)から復活し、EUの中でも強い発言権を持っていました。しかしEU離脱、広がる格差と分断、急速な新型コロナの蔓延、再度の全国ロックダウンなど、深刻になりつつある英国の現状を描き出しています。
ブレイディ みかこさんがエッセイで描いているのは英国ですが、その中身は日本にも当てはまることがいっぱい。
まず国の借金(債務残高)はダントツの一位。また高齢化率も世界一位のため社会保障費が年々膨らんでいます。前にも書いたように英国も経済破綻をしており、「鉄の女」と呼ばれたサッチャーが豪腕をふるって立て直しに奔走しました。日本もいつかは豪腕を振るう政治家が出てこないとどんなことになるのか!?
財務省
昨年7月、ジョンソン首相は、クリスマスまでには「平常」が戻るようにしたいと発言し、人々の職場復帰と活動再開をしました。すると感染者が急増したことで人々に自宅勤務を呼びかけ、そして全国的ロックダウンの再実施。日本でも「GO TO キャンペーン」を実施しましたが、昨年9月以降新規感染者数が急増しており、毎日のように記録更新をしています。
特に首都圏・関西圏を中心に急速な増加で、病院のICUが重症患者で逼迫している状況を考えると、英国の現状は対岸の火事と思えない。今後日本でも「命か、経済か」という議論がリアルに行われるのではないか。
ブロークン・ブリテンに聞け Listen to Broken Britain [ ブレイディ みかこ ] 価格:1,485円 |
このエッセイ集には生のイギリス事情が赤裸々に綴られており、「EUの優等生」と思われてきた英国がいかに疲弊しているかをヒシヒシと感じられる衝撃の一冊です。
もしかしたらこの本は近未来の日本を表している警告の書になるかもしれません。
一度読まれることをおすすめします。
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