4年後の大学入学共通テストが大幅に内容を刷新する案が文部科学省から出ている。2025年以降に受験を迎える中学生は、学習スタイルの変化と転換が求められることになるため、学習方法の見直しが急務となっている。
サンプル問題は「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」の4科目が公表され、いずれも図やグラフ、会話文を多用し、思考力などを問う内容となっている。
【「歴史総合」「地理総合」「公共」「情報」のサンプル問題は一番下に掲載】
発表によると、新教科の「情報」は、プログラミングを学ぶ「情報Ⅰ」が出題範囲となる。地理歴史は、日本と世界の近現代史を扱う「歴史総合」や、国際協力や防災がテーマの「地理総合」を、それぞれ「日本史探究」や「世界史探究」などと組み合わせて出題する。公民では、政治や社会を考える「公共」が新設され、「倫理」や「政治・経済」などと組み合わせる。
「英語」は、新学習指導要領の「英語コミュニケーションⅠ」「英語コミュニケーションⅡ」「論理・表現Ⅰ」が出題範囲。現行通り、リーディングとリスニングによる試験となる見込み。
複数の資料や会話文などを読ませたうえで解答させる問題が目立った。
全問マークシート方式だが、例えば公共では、四つある回答の選択肢だけで丸1ページに及ぶ問題もあり、限られた時間内に多くの資料や文章を読みこなす必要がある。各科目で大問が2~3ずつ公表され、問題のページ数は歴史総合が17ページ、情報と地理総合が各18ページ、公共が26ページに上った。
歴史総合は世界史と日本史を統合し、18世紀以降の近現代史を重点的に学ぶ。サンプル問題では、東西冷戦時代初期の欧州や日本の状況を示す資料や会話文をもとに「自由」の解釈を問う問題や、オスマン帝国憲法と大日本帝国憲法、清でつくられた憲法原案の共通点や違いなどを問う問題があった。
「情報」の問題例は、選挙で政党に配分される議席数決定の方法をプログラムを通して考察したり、サッカーワールドカップ(W杯)のパス本数や反則数の統計処理データを読み解かせたりする内容となっている。
これからの入試では、知識だけでは解けない問題が増えてくる。出題された問題が何を問うているのかを的確に読み取り、根拠を上げて書くことができる力(思考力・判断力・表現力)が求められる。
授業では、教科書など与えられたものを覚えるだけではなく、歴史的資料をもとに議論する活動や、具体的なテーマを自分なりに設定して主体的に理解を深める探究学習が今まで以上に必要になってくる。
身近な地域の課題や解決策を考え、歴史や理科など他教科と関連づけて考察する力も重要となる。そのためには、今世界で起きているニュースに関心を持ち、主体的に分析し、自分なりの答えを出すことを日常の生活の中で実践し、自分の力とすることが必要になるだろう。
「歴史総合」サンプル問題
【歴史総合の正解】
A 問1・5 問2・1 問3・4
B 問4・8 問5・3 問6・2
「地理総合」サンプル問題
【地理総合の正解】
問1・3 問2・4 問3・3
問4・1 問5・4 問6・8
「公共」サンプル問題
【公共の正解】
問1・3 問2・1
問3 (1)~(3)を次のいずれかの組み合わせで解答した場合を正解とし、点を与える
・(1)で〈1〉、(2)で〈2〉、(3)で〈3〉を解答した場合
・(1)で〈2〉、(2)で〈3〉、(3)で〈1〉を解答した場合
・(1)で〈3〉、(2)で〈1〉、(3)で〈2〉を解答した場合
問4・4
「情報」サンプル問題
【情報の正解】
問1 ア・3 イ・8 ウ・b(イとウ両方正解の場合のみ点を与える)
問2 エ・b オ・9 カ・9 キ・9 ク・7 ケ・1
コ・2 サ・2 シ・2 ス・3
問3 セ・2 ソ・2 タ・3 チ・8(タとチ両方正解の場合のみ点を与える)
ツ・0 テ・0(ツとテ両方正解の場合のみ点を与える)
参考:
https://www.iza.ne.jp/kiji/life/news/210324/lif21032418250020-n1.html
https://www.asahi.com/articles/ASP3S3RWSP3RUTIL02G.html
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20210324-OYT1T50196/
https://www.asahi.com/articles/ASP3S3QB1P3RUTIL02M.html
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20210322-OYT1T50177/
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