今年「東大模試」受験者が増加している　「ドラゴン桜」効果で今年も東大志望者数が増えるのか！？

「東大模試」は、東大志望者を対象に東大の出題傾向、難易度などを分析して出題される。現在では大手予備校（駿台予備学校、河合塾、東進ハイスクール、代々木ゼミナール）が実施している。
今年8月に実施された河合塾の東大模試「第1回東大オープン」の受験者数は1万670人。昨年はコロナ禍で試験会場を確保できずに7886人と少なかったが、一昨年の受験者数の1万444人と比べると102％で、226人増えている。高卒生は86％と減少したが、現役生は111％と増加。18歳の受験者人口が年々減少しているのに、現役生の東大志望者が増加している。



河合塾の東大専門特化校舎・本郷校舎の青木緑校舎長は、「現在は、安全志向、地元志向の受験生と、より偏差値が高い大学を目指して頑張る受験生との二極化が顕著。中間層が少し減って、偏差値トップの東大を目指す受験生が増えている印象です。東大には、入学後に3年生から進学する学部・学科を決める『進学振り分け制度』があること、大学院で企業とコラボした研究を行い、その企業に就職するなど就職状況がいいことなどから、東大志望者が増えたのだと思います」と分析。さらに「テレビドラマ『ドラゴン桜』の影響で、東大より少し偏差値が低い大学を志望していた受験生が、東大を目指したことが考えられます」とも語った。

「ドラゴン桜」の素晴らしいところは、その時代に合った教育ノウハウを、理論を提示しながら明確に映像化し表現しているところであろう。その例として、単純な計算問題を卓球のラリーのように交互に出題したり、その日覚えた英単語を使った日記をＳＮＳに投稿するといった勉強法や、「国語は古文から解き始める」「英語のリスニングは事前に問題文を読んでおく」という実践的なテクニックが登場。

今回の「ドラゴン桜」が前回と大きく違うのはメンタル面の指導ではないかと考える。当然受験に必要な知識は重要だが、受験生の意志、覚悟、自立、己を知る力といったメンタル面や家族の接し方・応援などの話が多かった。
近年は、自分が恵まれていることに気づかず、ハングリー精神が少ない生徒が増えており、
『東大を受験するという強い意志がない者は、受験する資格がない』や『お前の人生だ。お前が決めろ』といったセリフは、自分の人生を自分で決める覚悟、セルフコントロール、モチベーションの維持が大切だというメッセージであろう。

どの項目も当たり前のことが書かれているに過ぎず、特別難しいことはない。しかしこの当たり前のことが実行しにくい時代ともいえる。「規則正しい生活」がどれほど心の安定と調和が取れた人間になるのだと云うことがうかがえる。

大学ジャーナリストの石渡嶺司氏は「作中の勉強法は教育関係者などに丁寧に取材したものを紹介していて、受験生ごとの相性はあっても大筋は正しいという評価が一般的だ」と解説している。
実際、２００５年放送の前シリーズでは、翌年の東大志願者数が増加。放送終了後の同１１月に大手予備校が実施した東大模試の受検者数は、前年より２割増加。０６年の一般入試志願者の合計は前年から約７００人増加し計１万４９５１人、０７年も増加傾向のまま１万５１８４人を記録。「ドラゴン桜」の勉強法で東大に合格した受験生もいた。



さらに石渡氏は「東大合格レベルの学力を持っていても、家庭や本人の意向で地元での進学を希望する受験生も多い。『ドラゴン桜』の放送でそうした受験生を東大に呼び込めるかが１つの鍵になる」とみている。
今年も後2ヶ月で終わる。「ドラゴン桜」にもあったように、強い意志を持ち、目標を立て、それを目指して全力を尽くすこと。これこそ重要なことではないだろうか。

参考
今年「東大志望者」が増えている、驚くべき「背景と事情」
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d3e5dcebf2942fca075c18ee79d414823b222de
今年「東大志望者」が増えている、驚くべき「背景と事情」 数年後、さらに増える可能性も
https://news.livedoor.com/article/detail/21137647/
東大志願者に異変起こすか…ＴＢＳ系ドラマ「ドラゴン桜」効果　前シリーズ放送後は一般入試約７００人増加
https://www.zakzak.co.jp/ent/news/210626/enn2106260001-n1.html