米のＥＶ自動車大手・テスラは人型ロボットを、半導体メーカー・ＮＶＩＤＩＡは感情表現豊かなＡＩを開発。時代はシンギュラリティの真っ只中に！

我々が思っているより企業の先端技術開発は速く進んでいる。
もしかしたら我々はすでに時代のシンギュラリティ（技術的特異点）に入っているのかも知れない。

IBMと東大が「量子コンピュータ」を開発

少し前までは夢物語やSFの話と思われていた「量子コンピュータ」。日本でも「新川崎・創造のもりかわさき新産業創造センター」に国立大学法人東京大学と日本アイ・ビー・エム株式会社（IBM）は、日本初のゲート型商用量子コンピューティング・システム「IBM Quantum System One」が7月27日に発表され稼働を開始した。それに来年以降この「量子コンピュータ」を一般の人が無償で使うことができるといわれている。

テスラの人型ロボット「Tesla Bot」

またアメリカの電気自動車大手・テスラは、8月19日（現地時間）、人工知能（AI）に関するイベント Tesla AI Day の最後のプレゼンで、「Tesla Bot」と呼ばれる人型ロボットを発表。代表のイーロン・マスク氏によれば、このロボットによって人間は単調な肉体労働から解放されるかもしれないとのこと。

Tesla Botとは

Tesla Bot
・身長（高さ）　約178cm
・体重（重量）　　 57kg程度
・スタイル　スリムな成人男性
・ボディ　超軽量素材
40の電動モーターを搭載
人間の顔に当たる部分のスクリーンに様々な情報を映し出すことができる
・パワー
①持ち運びが約20kgまで
②持ち上げるだけなら全身を使って約68kg
③腕だけでも約4.5kgまで
・仕様
誤動作を起こしても人間が逃げられるように意図的に怪力ではなくしている
“安全”仕様のロボット
・頭脳
運転支援システムの開発で培ってきた技術が投入
人間の代わりに「危険で、反復的な単純作業」を行える
現時点では日常的な買い物などを想定している
将来的には危険な作業や単純作業を人に代わって行わせる
・開発状況
2022年中に試作機が完成する見込み
早期に市販するという可能性も！？

NVIDIAの感情表現豊かなＡＩ

半導体メーカーのNVIDIAといえばグラフィックボードのチップ開発世界トップメーカー。人工知能(AI)技術の開発も行っており、9月1日に、人間の声と聞き間違うレベルで自然に発話可能なAIを開発中であることを、音声処理関連の技術カンファレンス「INTERSPEECH 2021」で発表した。
この分野はすでに様々な企業がAIによる音声合成ソフトを有償・無償で公開されており、スマートフォンやスマートスピーカーに搭載されたバーチャルアシスタントはかなり人間らしく洗練されたものに進化している。

NVIDIAの目標は感情を刺激するような話し方

開発は進んでいるが未だに良く聞くと人工的に合成されていると分かるレベル。依然として実際の人間による会話の音声と合成音声との間には大きな差があり、本物の人間の声なのかAIの合成音声なのかを聞き分けることは簡単。NVIDIAによれば、AIが人間の声に含まれる複雑なリズムやイントネーションを完全に模倣するのは難しいとのこと。

「人間の声を楽器と見立てる」という発想の転換

音声合成のデータは、多くの人が話す「ナレーション」をもとにつくられてきたため、合成できる音声のテンポや音程のコントロールに限りがあった。このことで合成された音声は人の感情を刺激するような話し方にならなかった。しかし、NVIDIAの音声合成研究チームはAIで人間の声を楽器と見立てて分析することで、合成された声のピッチや持続時間、強さをフレームレベルで細かくコントロール。こうすることでより細かい表現が可能となったという。これによりこれまで難しかった合唱のコーラスパートを、多くの人が集まって歌っているように合成できたという。

NVIDIAが自動音声認識・自然言語処理・テキスト読み上げ合成に取り組む研究者向けにオープンソースで開発する会話型AIツールキットを「NVIDIA NeMo」といい、一般にもGitHubで公開されている。
NVIDIA NeMoでは、76言語・約1万4000時間の音声データを含むデータセットであるMozilla Common Voiceで学習したモデルも提供されており、NVIDIAは「世界最大のオープンな音声データセットを用いて、私たちは音声技術の民主化を目指しています」とコメントしている。

おわりに

そう遠くない未来に、各家庭にはスーパーコンピュータ並みの家庭用「量子コンピュータ」が設置され、AI搭載型自動運転の自動車が空を飛び、家から電車に乗って工場に働きに出かけるのはヒューマノイド型のロボット、料理から家事までこなし、感情表現いっぱいの言葉で子どもを育ててくれる家事専門のロボット達が出現するかも知れない。
人間の仕事は無くなり、あなたが存在しなくても全てが普通に動いていく世界。
その時あなたは何をして人生を送りますか？

参考
東京大学とIBM、日本初のゲート型商用量子コンピュータ「IBM Quantum System One」を稼働開始
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1340505.html
IBM Cloudで量子コンピューターを無償で触ってみよう！
https://qiita.com/testnin2/items/6dc777a2517d608b8d9f
テスラのロボット「Tesla Bot」に見る期待と課題、現実度　自動車メーカーがなぜロボットを開発するのか?
https://robotstart.info/2021/08/23/teslabot-concept.html
なんとテスラが人型ロボットの開発に着手！　テスラだけに早期の市販も考えられるかも…
https://news.yahoo.co.jp/articles/04a7c2a47717ae3f485dfc5d33997ec0018ee890
まるで本物の人間のように表現力豊かに発話できるAIをNVIDIAが開発中
https://gigazine.net/news/20210901-nvidia-speach-ai-rad-tts/