はやぶさ2と日本の宇宙生物学実験「たんぽぽ計画」が生命の起源や謎を解明するかも!

科学

はやぶさ2が小惑星リュウグウから戻り、カプセルを地球に落とし、現在持ち帰った資料を解析しています。回収されたカプセルからは1cmもの岩石が見つかっており、世界中の科学者が資料の配付を待ちわびているそうです。真空の宇宙で生命は存在できるのでしょうか?しかし「宇宙は真空状態なので生命が存在し得ないのでは無いか」そんな考えを180度転換する論文が発表されました。今後、宇宙に対する私たちのイメージが変わるかも知れません。そんな研究が進行しています。

<目次>

1 地上の生命にとって過酷な世界「宇宙」

2 真空状態でも生き残れる微生物の発見!

3 「パンスペルミア」仮説を実証!?

1 地上の生命にとって過酷な世界「宇宙」

人間が生身で宇宙空間に飛び出したらどのようになるのでしょう。皆さんもお分かりのように直接的に死に至らしめるのは酸素の欠乏です。なら息を止めたらどうなるか。
息を止めることは「実行できる限り最悪の行動」だそうです。宇宙空間で息を止めると空気の泡が血中に入り込んで脳に到達して脳卒中を引き起こすか、圧力の変化に伴って肺が破裂してしまうのだそうです。
運がよければ宇宙空間に出てからも15秒程度は意識がある可能性があるとのこと。しかしそれ以降は意識を失い、2分ほどで全身の臓器が酸素不足になって死に至ります。
さらに太陽に面している時の外部温度はおよそ121度、太陽が地球にさえぎられている時の外部温度はおよそマイナス157度。とても生命が生きていける環境では無いように思います。


2 真空状態でも生き残れる微生物の発見!

しかし国際宇宙ステーションで宇宙空間に数年間さらされた微生物のコロニーに及ぼす影響を調べる日本の宇宙生物学実験「たんぽぽ計画」がこのほど研究成果をまとめ、微生物が真空空間に長期間さらされても生存できることを実証し、その研究成果を8月26日付の『Frontiers in Microbiology』誌に掲載しました。
プレリリース:https://www.toyaku.ac.jp/lifescience/newstopics/2020/0826_3998.html
論文:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fmicb.2020.02050/full

 

3 「パンスペルミア」仮説を実証!?

100年以上前に「微生物が隕石や彗星に乗って宇宙を移動することで、生命が惑星から惑星へと拡散する」と考える「パンスペルミア」という仮説が提唱されていました。そこでJAXAと東京薬科大学をはじめとする26機関が参加した「たんぽぽ計画」では研究テーマの一つとして、国際宇宙ステーション(ISS)の曝露部に「デイノコッカス・ラジオデュランス(Deinococcus radiodurans)」という細菌の塊を2015年から3年にわたって配置し、実際に微生物が宇宙空間で生存できるのか、生命がどれだけ宇宙の長旅に耐えられるのかを調べました。デイノコッカス・ラジオデュランスが選ばれたのは、放射線への耐性がとりわけ高いことで知られる細菌です。

この研究の成果として分かったことは、
・微生物が火星と地球を移動する最短時間、生存可能であること。
・生命が惑星間を移動可能であるならば、地球上の生命は火星で誕生した可能性もある。

今回の実験は地上400kmの高さにある国際宇宙ステーションで実施されました。この高度では宇宙線などが地球の磁場にとらえられた「バンアレン帯」の内側であるため、強い放射線からは防御されています。今後はバンアレン帯の外側で微生物曝露実験を行うことで、「パンスペルミア仮説」のより良い検証ができると期待されています。

火星に生命の痕跡が見つかるのもそう遠い話では無く、他の太陽系の惑星にも生命が存在しているかも知れませんね。これからの研究成果に期待しましょう。
参考:https://gigazine.net/news/20200619-humans-exposed-space-without-spacesuit/

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