11月5日にANAホールディングスは、航空機から人工衛星打ち上げを行っている米ヴァージン・オービットと、大分空港から人工衛星を打ち上げる事業展開に向け基本合意書を締結し、2022年以降の打ち上げを目指すことを発表した。
これまで多くのロケットは垂直に打ち上げを行ってきた。なぜなら短時間で大気圏を突破し衛星軌道に乗せることができるからだったが、垂直に打ち上げられるロケットには膨大な開発費と製造コスト、燃料や気象による延期などがかかり、民間企業がなかなか手を出せないでいた。
開発費 約2000億円 打ち上げ費用 100億円
すでにこの2者で次のような合意がなされている。
・高度約10km(1万m)でロケットを航空機から切り離して打ち上げる
・2019年6月に提携を発表し、日本国内での事業化に向けて具体的な協議を進めている
・ロケットに必要な燃料が少なくて済む
・大分空港はボーイング747-400型機が離発着できる3000mの滑走路がある
・空港の西側以外は海に面している
・大分には自動車産業や精密機械産業に携わる企業が集積しているため、ロケットや人工衛星の部品生産やメンテナンスに地元企業の技術を活用できる
・宇宙港の周りには打ち上げ事業者やエンジニア、宇宙旅行へ向かう旅行客、見学者などに対応できる場所がある(別府温泉や由布院温泉など)
・実現すればアジア初の宇宙港
・NASAと超小型衛星打ち上げの委託契約の締結済み
・打ち上げるロケットは2段式
・低軌道(高度230km)へは500kgまで運べる
・太陽同期軌道(高度500km)へは300kgまで運べる
今後、ロケットを整備したり衛星を搭載したりする施設や、燃料関係の設備などを空港と周辺地に整備するという。ANAホールディングスは、事業展開に必要な国内での許認可取得やロケットの衛星搭載スペースの販売、宇宙港で使う地上支援機材の手配や輸送、ファイナンスの組成、および衛星搭載スペースの販売は国内独占販売権を取得して傘下の全日空商事と協業の予定である。
大分県も「具体的な計画が出て前進を感じる必要な環境整備をバックアップしていきたい」と話し、県は法令上の課題解決などを支援し、大分空港を「宇宙港」にすることで県内企業の運用面での参画や宇宙関連産業の活性化を期待している。
打ち上げ計画として両社は、2022年以降の10年間で20回の行うことを目指すと話している。
参考
ヴァージン・オービット
https://virginorbit.com/
ANAとヴァージン、747から衛星打ち上げへ 大分空港視野に22年以降
https://www.aviationwire.jp/archives/238278
ANAとヴァージン、747から衛星打ち上げへ 大分空港視野に22年以降
https://news.yahoo.co.jp/articles/6523991196717f6a4f364f7724e3fe509cebcf22
ANA、米ヴァージン社が衛星事業で合意 大分空港「宇宙港」計画に弾み
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e6db7b07c7e60f2d642c69302d11272d4b7c8a5
大分、アジア初の「宇宙港」 決め手は温泉と町工場
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFK175PD0X10C21A3000000/
大分空港が「宇宙港」へ着々 米企業、打ち上げ試験成功
https://www.asahi.com/articles/ASP1T3HWLP1TTIPE001.html
2022年大分空港がアジア初の宇宙港になる
https://kansai-sanpo.com/oita-747rocket/
コスト100分の1へ、再使用ロケットが壊す宇宙の常識と残る課題
https://sorabatake.jp/6690/
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