「iPS細胞」から造られた受精卵で胎児になる初期細胞着床に成功　ガンダムＳＥＥＤの世界が・・

山中伸弥iPS研究所所長が2022年3月に退任される。山中伸弥所長がは難病を抱えている患者にとって生きる光を与え、再生医療においてこれほどの偉大な発明をした人はいないであろう。

2006年（平成18年）、山中伸弥氏率いる京都大学の研究グループによって人工多能性幹細胞（英: induced pluripotent stem cells）をつくりだした。「iPS細胞」は皮膚片などの体細胞へ4種類の遺伝子を導入することにより、ES細胞（胚性幹細胞）のように非常に多くの細胞に分化できる分化万能性 (pluripotency)と、分裂増殖を経てもそれを維持できる自己複製能を持たせた細胞のことを指す。早い話、「iPS細胞」は理論上ではあるが、体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導することが可能である細胞だ。



これまでも「加齢黄斑変性」「角膜移植」「網膜色素変性症」「進行性骨化性線維異形成症」「ペンドレッド症候群」「パーキンソン病」ほかの治療など、様々な治療に使われてきた。その多くは対処療法しかなく根本的な治療が難しいものだった。
しかし体を構成するすべての組織や臓器に分化誘導ができるため、倫理的な問題もクローズアップされ始めている。

2021年12月12日の報道によると、受精卵が胎児になる初期段階でみられる細胞の塊を作り、その細胞の塊が、人工的に作った子宮に似た組織に着床する様子を再現するのに成功したと、オーストリアの研究グループが発表した。この研究は、オーストリア科学アカデミー分子生物工学研究所の香川晴信研究員やニコラス・リブロンリーダーらのグループが行い、科学雑誌「ネイチャー」に発表している。

【NHK】iPS細胞などで受精卵から胎児になる初期細胞作り着床を再現
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211212/k10013384951000.html

「胚盤胞」の塊は、通常の受精卵からできる「胚盤胞」とほぼ同じ大きさであり、発現している遺伝子もほぼ一致しているため、ヒトの「胚盤胞」の機能をすべて再現していると考えられるそうである。

受精卵の段階からヒトの細胞がどのように分化していくかを観察できることで、どの遺伝子がどのように関わるのかを分析できるとともに、その治療方法が分かるなど、その意義は計り知れないだろう。また「胚盤胞」の発生や「着床」のメカニズムを詳しく分析することで、体外受精の成功率向上に大きな期待がかけられている。
「iPS細胞」は皮膚片の遺伝子があれば作れるため、子どもを授かれない同性同士の間でも受精卵を作成し子どもを作れる可能性がある。さらに筋肉増強に関わる遺伝子や知能の発達に関わる遺伝子を初期段階で組み込むことで、超人的な能力の可能性を持ったヒトをつくる「デザイナーベイビー」も生み出せる。それはガンダムＳＥＥＤの「キラ・ヤマト」のような「コーディネイターの世界」を作り出せる技術となるのではないか。



研究グループは、国際的な生命倫理のガイドラインに従って、培養は受精から13日目までの段階で止めたという。しかし「倫理を犯しても」と考える「マッドサイエンティスト」が出現すると、なし崩しにならないとはいえない。さらに怖いのは細胞が適合できれば「キメラ」が誕生する可能性がないとはいえない。
技術には必ず光と影が存在する。
全人類がより良く使ってこそ発展がある。
人の英知を信じたい。

参考
【NHK】iPS細胞などで受精卵から胎児になる初期細胞作り着床を再現
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211212/k10013384951000.html
iPS細胞による網膜再生に世界で初めて成功した理由
https://www.dhbr.net/articles/-/8199
【京都大学iPS細胞研究所】筋ジストロフィーのゲノム編集治療を目指したLNP-mRNA輸送システムの開発
https://www.cira.kyoto-u.ac.jp/j/pressrelease/news/211208-190000.html
wiki 人工多能性幹細胞
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BA%BA%E5%B7%A5%E5%A4%9A%E8%83%BD%E6%80%A7%E5%B9%B9%E7%B4%B0%E8%83%9E
wiki 機動戦士ガンダムSEED
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A9%9F%E5%8B%95%E6%88%A6%E5%A3%AB%E3%82%AC%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%A0SEED