移籍1年目でメジャーの球場や投手の違いに未だ違和感があるのか、成績が伸び悩んでいる。
だが心配無用(笑)、監督曰く、「野球小僧」の鈴木はチームでの練習で少しずつ手ごたえを感じてきているようだ。
現地3月30日(日本時間31日)に開催されたカクタスリーグ(アリゾナ開催のオープン戦)のマリナーズ戦で、メジャー移籍後初安打となる2ランを左中間に叩き込んでいる。7日(日本時間8日)の開幕に向け、オープン戦で調整している。しかし彼の敵は相手チームの投手だけでなく、本拠地の「風」と「ツタ」を味方につけられるかも成績に大きくかかわってくる。
Home run, Seiya Suzuki!
ホームラン、鈴木誠也選手! pic.twitter.com/Fw7FQILdn0
— Chicago Cubs (@Cubs) March 30, 2022
30日(日本時間31日)まで鈴木誠也は9打席1安打2打点の打率.111と低迷していた。、しかしこの日待望のOP戦初本塁打を記録した。
これだけ打率が低迷しても周囲からの信頼は厚い。もちろん彼の人柄の良さもあるが、様々な球種に対してコントロールされたアプローチ、スイングができているとの評判が高い。また体幹の強さからパワーのかけ方や、振らされても難しい球をファールで逃げる技術を身につけていることから、順応力の高さがチームに安心感を与えているようだ。
試合後に鈴木はインタビューに答えている。
「たまたまっていう感じですね」
―打った瞬間いった感覚はあったのか。
「いや、こすっていたのでどうかなという感じはありましたけど。でも角度よく入ってくれたのでよかったです」
―3打席目からステップをしないで打っていたように見えた。
「単純にタイミングが合わないので、これはずっと日本の時からやってきたことですし。その投手その投手でタイミングが合う合わないはあると思うので。その中で1球1球合わないなと思ったら変えないといけないと思いますし、今日はタイミング合わなかったので、ノーステップにして、3打席目だけですけど。そこでしっかり自分のスイングができたのでよかったです」
―ホームに戻ってきたときに監督は同僚の反応を見た時の心境は。
「うれしかったですね。素直にうれしかったです」
―ここまで4試合。試合勘は。
「試合勘はもう慣れてきましたし、全然そこの問題はないと思います。ただあとは自分の技術的なところで、まだまだ足りない部分というのはたくさんあると思うので、しっかりやっていきたいなと思います」
このように、タイミングが合いにくいピッチャーにはステップを変え、1球1球考えてスイングするなど、自分の打撃に足りないところを考え続けて打席に入っていることが分かる。
3月30日にオープン戦初アーチを放ったが、1日(日本時間2日)のダイヤモンドバックス戦では、「2番右翼」でスタメン出場した。しかしこの日は3打数無安打だった。この日も左足を上げたり、ノーステップにしたりと工夫しているがタイミングが合わなかったという。2日(日本時間3日)のエンゼルス戦には出場する見込み。
未だ打率は低迷しているが、米国の主要スポーツのオッズを比較・分析するサイト『ODDSCHECKER』では、ライターのジェイソン・ラドウィズ氏が記事の中で、各ブックメーカーの予想を踏まえながら鈴木誠也をナショナル・リーグの新人王最有力候補と伝えているという。
ラドウィズ氏はこのサイトの中で「セイヤ・スズキは8500万ドルで契約したばかり。他のルーキーでこれほどもらっているルーキーはいない」など、入団時からの期待の高さを指摘し、「スズキはまだ27歳だが、日本でプレーを始めたのは9年前。182本のホームランを打ち、打率.315を記録している」と日本での実績を強調している。さらに「彼のプレーがMLBで通用するかどうかは時間が解決してくれるだろうが、ほとんどのフロントオフィスと組織は(MLBでの活躍できると)そう信じているようだ」と述べた。
さらに対抗馬として、シンシナティ・レッズのハンター・グリーンの名前を挙げ「ハンター・グリーンは新人王を獲得するチャンスは十分にある」と述べたが、「多くの予想では、スズキは25本塁打、OBP(出塁率)は.400近くとされている。もし、この数字に近い成績を残せば、受賞は確定だろう」と鈴木の新人王獲得を示した。
カブスの本拠地・リグレーフィールドは1914年に開場したナ・リーグ最古の球場。伝統を重んじる米国のファンの間では人気の高いボールパークだが、この球場には「魔物!?」が住んでいる。
それは名物の「風」で、シカゴは厄介な“強風の街”でもある。
シカゴ市は五大湖のひとつ、ミシガン湖に近く、強い季節風が吹く「ウインディーシティー」の異名を持つ。球場の風速は最大でハリケーン並みの25メートルを記録することもあり、試合中も風の影響をもろに受け、打球の勢いは風向きによって大きく左右されるのだ。
更に外野フェンスには、「ツタ」が生い茂っているため、フェンス直撃の強烈な当たりでも他の球場と比べてクッションボールの跳ね返りが少なく、長打を防ぐにはフェンスまで全力で追わなければならない。
この「ツタ」があることで独自の「グラウンドルール」も存在し、打球が「ツタ」に埋もれ、ボールを発見できない場合、外野手は両手を上げてアピールすれば「エンタイトル・ツーベース」と判定されるという。
今季は本拠地81試合のうち、デーゲーム46試合が予定されている。ナイター翌日のデーゲームも珍しくない。
移籍1年目でメジャーの投手に不慣れなだけでなく、球場のコンディショニングにも合わせていかなくてはならない。だが「野球小僧」の鈴木なら順応力の高さからきっと活躍できるであろう。今後に期待したい。
参考
鈴木誠也、打率.111でもカブス4人が称賛のワケ「ファウルにできる」「場外弾も見た」
https://news.infoseek.co.jp/article/theanswer_232618/
メジャー通算51勝エース級左腕討ち、大歓声の中ダイヤモンド一周
https://full-count.jp/2022/03/31/post1199965/
カブス鈴木誠也 タイミング変えて待望のアーチ「ずっと日本の時からやってきたこと」
https://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2022/03/31/kiji/20220331s00001007232000c.html
カブス鈴木誠也「2番右翼」3打数無安打、タイミング合わず打撃フォームを試行錯誤
https://home.kingsoft.jp/news/sports/nikkansports/202204020000096.html
「予想通りの数字ならば確定だ」米識者が鈴木誠也をナ・リーグ新人王最有力と予想‼ 「シカゴは危険な存在になる」
https://news.yahoo.co.jp/articles/39f6766d459feb2e1e3edbbf5bd4de5006737aeb
カブス本拠地の風速は最大25mを記録 外野手・鈴木誠也にシカゴは厄介な“強風の街”
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/sports/303315
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