台湾デジタル担当大臣オードリー・タンが語るコロナ対策や政治…日本に必要なこと。

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2021年1月30日の『世界一受けたい授業』(日本テレビ系、19:00~)は、「日本に迫る5つの危機!回避スペシャル」と題して、台湾のデジタル担当大臣のオードリー・タン氏への独占インタビューが放送される。初動から徹底した対策で新型コロナの封じ込めに成功した立役者として世界から注目を浴びるタン氏。コロナ対策だけでなく、いま日本の政治に求められていることなど、日本が危機を乗り越える方法を提案する特別授業をしてくれる。

<目次>
1 徹底した行動調査と違反した場合の罰則規定
2 感染者の行動履歴に 明確な開示基準
3 プライバシー侵害と デマ拡散に厳しく対応

1 徹底した行動調査と違反した場合の罰則規定

台湾の中央感染症指揮センター(日本の新型コロナウイルス感染症対策本部に相当)は昨年12月22日、海外への渡航歴がない感染者(=国内感染者)が1人確認されたと発表した。感染したのは30代の台湾人女性で、すでに12月20日に感染が確認されていた60代ニュージーランド人男性の濃厚接触者であったことも発表される。
今回注目されたのは、この台湾人女性の感染経路と感染発見までの経緯で、台湾では感染者に対して疫学調査が行われ、濃厚接触者の有無や感染が確定するまでの足取りなどが徹底した聴取が行われる。 感染者が感染確定した日から14日前までの足取りをすべて調査し、感染確定者との接触者を「明確な濃厚接触者」「濃厚接触もしくは接触可能者」「公開した同一時刻同一場所にいて症状のある人」と3種類に分類して、隔離措置経過観察診察検査を行う。なお、濃厚接触者とは「感染確定者と1~2メートル以内で15分以上接触した人」と明確に定義されている。この疫学調査において、接触者や行動履歴を隠匿などした場合は伝染病防治法43条の違反に問われ、また同法67条第1項第3款の規定により6万~30万元(約22万円から110万円)の罰金が科せられると規定されている。
こうした厳しい罰則があるにもかかわらず、前出のニュージーランド人男性は、疫学調査の際、「明確な行動歴は思い出せない」として、台湾人女性の存在を隠蔽(いんぺい)した。しかし、台湾の警察がニュージーランド人男性の行動経路を調べたところ、台湾人女性と接点があることが判明。12月21日に無症状であった台湾人女性に事情聴取、検査の結果、陽性反応が出て、この域内感染が迅速に発見された。なお、ニュージーランド人男性は、疫学調査で重大かつ明らかな隠匿行為をしたとして最高額の30万台湾元(約110万円)の過料が科されることが決まった。また、このニュージーランド人男性は民間航空会社で機長の職にあったが、今回の件で解雇された。


2 感染者の行動履歴に 明確な開示基準

中央感染症指揮センターは12月22日の会見で、このニュージーランド人男性と台湾人女性が12月8日から11日までに訪れたデパートなど3カ所の店名と滞在時間を公表。同じ時間帯にいた人たちに対し、外出時のマスク着用や公共の場への出入り自粛などの「自主健康管理」を呼び掛けた。また、該当者で何らかの症状が出た場合は、ホットラインに電話するか保健所などに申し出て診察や検査を受けるように注意喚起。今回感染が判明した2人の足取りが3カ所しか発表されなかったことに対し、市民やマスコミからは不安や疑問の声も上がった。だが、台湾当局の発表基準は明確だった。それは2020年4月1日に公布された「指揮センター記者会見の感染確定者個別情報発表に関する原則」で、具体的な基準が示されている。

<非公開情報は以下3点で、非公開の上適切に防疫措置が取られる>
プライバシー情報および接触者が特定できる情報(家族や交友関係)
出入りする人間が特定される情報(学校や職場)
明らかに場所が特定される情報(レストランや会員制クラブ)
<公開される情報、該当者は診察、検査を優先的に行う>
不特定多数の人間が自由に出入りする場所と時間情報(百貨店などや長距離交通機関)

その後、中央感染症指揮センターは12日24日の会見で、域内感染した台湾人女性の勤務先を中心とする接触者176人全員の陰性が確認されたと発表された。また、前回の会見から2日間で関連の通報が多数寄せられ、41件の検査が行われたとも付け加えられた。今回の域内感染の件では、のべ250人あまりが接触者として調査検査を受け、全員の陰性が確認されたことになる。このように徹底したクラスター対策と明確な基準の公開が市民の信頼を高めた。

3 プライバシー侵害と デマ拡散に厳しく対応

中央感染症指揮センターは12月22日の夜、同日2度目となる会見を開いている。指揮官の陳時中衛生福利部長(厚生大臣に相当)は、「この域内感染案件は感染経路が完全に特定できているので、過度に怖がることはありません。国民の皆さんは引き続きマスク、手洗いなどを継続しながら、安心して普段の生活を続けてください」と断言した上で、年末年始の大型イベントの開催者と参加者に対して、厳格な対応の要請と注意喚起を行った。マスク販売においても、全国民が保有している「ICチップ入り健康保険カード」を利用しマスクの実名販売制度を利用して1枚5元(約17円)で国民全員に公平公正にマスクが行き渡るようにした。さらに全国約6500店舗の「健保特約薬局」と呼ばれる当局から承認を受けた薬局のマスクの残存数(在庫)がわかる「マスクマップアプリ」が国民に無料で提供され、確実にマスクが買える環境を整えていった。これによりマスク不安が解消し市民の恐慌、混乱が起こることはなかった。
台湾政府は市民に対し、感染を防ぐための厳格な対応を求める一方、プライバシーへの配慮もしっかりと行った。12月23日の会見時、記者たちからは、域内感染した台湾人女性の足取りについての質問が集中した。だが、陳時中指揮官は、「それらの事実かどうか確認できないことをむやみに拡散、報道しないでほしい。防疫に必要のないゴシップは誰も流してはいけない。必要な情報は、すべて中央感染症指揮センターが発表する」と強い口調で述べ、デマの拡散やプライバシーの侵害を行わないよう求めた。さらに「中央感染症指揮センターの発表以外の情報を詮索して、不確実なうわさやデマを流した場合、国民に余計な恐怖を与えるだけでなく防疫活動の妨害にもなり、刑事および民事等の法的な追及もされることがあることを理解してほしい」と述べている。このようリーダーが思いやりと信念、行動力を持って明確に指示を出すことが重要と考える。
今回の特別授業では、タン氏が提案した様々な新型コロナウイルス封じ込め対策を紹介。たった3日で開発した「マスクが買える場所が分かるアプリ」制作の裏話や、日本でも問題となった「トイレットペーパーが不足するというデマ」の拡散を防止するために、日本の首相に当たる行政院長自らがお尻を振って「私たちにお尻はひとつしかない」と台湾ユーモアを発信したエピソードなど、驚きつつも納得のユニークな対策は必見の内容となっている。さらに授業では、台湾市民に大人気のタン氏本人の魅力にも迫る。
IQ160の天才で大臣には35歳で就任、来日経験もあり日本アニメも味噌汁も大好きというチャーミングなキャラクターだけでなく、距離が生まれがちな政治家と市民の関係を改善するために「取材やイベントは時間が許す限り受けつけるが、条件としてタン氏が喋った内容は全てインターネットで公開する」という「開かれた政府」を実践する様子についても詳しく紹介される。

興味のある人は是非見て欲しい。

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