もしあなたの娘が学校から帰って来るなり、「学校で男の子に突然、キスされた」と話したらあなたはどのような行動を取るでしょう。
この本はアメリカのアニメーター、レイチェル・ブライアンさん書きました。7歳の娘が通っている学校での出来事を聞き、危機感を覚えたブライアンさんが、子どもを守るための言葉『同意』の必要性を分かりやすく伝えるために書いた本です。さらに『同意』を伝えるアニメーション「Consent for Kids」と本書の制作を決めました。アニメーションは25以上の言語で翻訳され、世界で1億5000万回以上再生されています。このブログの最後に「Consent for Kids(日本語版)」を掲載しています。
【児童書】著: レイチェル・ブライアン/訳: 中井 はるの/出版社: 集英社
子どもを守る言葉「同意」って何? YES、NOは自分が決める! [ レイチェル・ブライアン ] 価格:1,760円 |
<目次>
1 「いや」といえなかった
2 8章で構成され分かりやすい内容
本書を書くきっかけとなったのは、ブライアンさんの7歳の娘が「今日学校で突然、男の子からキスされた」と伝えられたことだった。その内容は、先生が背を向けている間にキスされたこと、「嫌だった」と相手に伝えていないこと、先生にも相談していないという。娘は「本当に恥ずかしくて、腹が立った。とにかく今日一日がすぐに終わってほしかった」と打ち明けたという。
これは7歳の彼女だけの問題ではなく、日本でも世界中でも、年齢や性別に限らず、重要な問題だ。
新型コロナで社会的距離(social distance)が注目を集めているが、人が「居心地が良い」と感じる心理的距離(Psychological distance)や身体的距離(Physical distance)も重要。これらの境界線(バウンダリー)を超えて接近する場合は、相手が何に同意しているかをきちんと尋ねることが必要であり、人としてのマナーであろう。
現代社会では「居心地が良い」と感じる心理的距離(Psychological distance)や身体的距離(Physical distance)を理解していない人が多く、「これぐらい大丈夫」と考えて行動することで、多くのいじめや性暴力、ハラスメントを引き起こしている。
本書は子どもたちに『同意』の重要性を伝えることで、いじめや性暴力、ハラスメントの被害者にも加害者にもさせないことを願い、書かれている。
「自分のからだは自分のもの」「あなたの意思に反することなら拒否したり、周りに助けを求めたりして良い」ことなどを可愛らしい絵と分かりやすい言葉で説明されている。
例として「こちょこちょしていい?」では、2人の登場人物のうち、1人がくすぐり遊びを提案する。もう1人は「やだ!」と拒否。それでも「楽しいからやろうよ!」と言って、相手を無理やりくすぐり始める。拒んだ方は、「やだよ!」「やめてっ!」と繰り返すが、くすぐったくて笑いが止まらない。くすぐる側が「楽しいでしょ?」と尋ねると、くすぐられた方は「あっち行け!」と怒りを爆発させる、という物語。
このように「無理強いをして無理矢理従わせる」ことが発展すれば、性暴力やDVに繋がることを思わざるを得ない。この例だけでも読者の中には「恐怖を感じた」という人も多い。
① 秘密にしたがる
② 二人きりになりたがる
③ 変な感じに体を触ってきたり、何かを強引にさせる
④ 脅して言うことを聞かせる
① 直接注意する
② 困っている人に声をかける
③ 気をそらせる
④ 人を呼ぶ
このような具体的な例が豊富に掲載されている。
『同意』を伝えるアニメーション「Consent for kids (日本語版)」
本書は児童書に分類されているが、ぜひ大人も読んで著者の願いを感じて欲しい。
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