世界的な脱プラスチックの動きが加速 コンビニや外食産業で木製・竹製のスプーンやストロー、歯ブラシに転換

テクノロジー

2015年に国連で採択されたSDGs(持続可能な開発目標)をスタートに、日本でも2019年のプラスチック資源循環戦略の策定、G20大阪サミットでの「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」の提言など、脱プラスチックについて企業を中心に関心が高まっている。2022年4月1日より「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック資源循環促進法)」が始まり、私たちにも取り組む必要が出てきた。脱プラスチックの動きと課題について考えてみたい。

「プラスチック資源循環法」で何が変わるのか

2022年4月1日に施行された「プラスチック資源循環促進法」で、使い捨てのプラスチック製品の削減を企業などに課せられることになった。これまで無料で提供されていたコンビニのスプーンやホテルの歯ブラシなど12品目が削減の対象となっている。
【プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律案の概要】
https://www.meti.go.jp/press/2020/03/20210309004/20210309004-1.pdf



この法律は、世界で毎年およそ800万トンが海に流出しているプラスチックゴミの削減を目的とし、2030年までに使い捨てプラスチックの排出量を25%抑制するもの。
対象となるのは次の12品目。、

①コンビニや飲食店で渡されるストローやスプーン、フォーク、ナイフ、マドラー
②ホテルや旅館で用意される歯ブラシやかみそり、ヘアブラシ、くし、シャワー用キャップ
③クリーニング店で使われるハンガーや衣類カバー

こうした製品を年間5トン以上提供している小売店や宿泊施設、飲食店などに削減の義務を課し、従わなければ50万円以下の罰金が科される。一方、年間5トン未満の個人経営の店などについては努力義務となっている。

ヒトの血液からマイクロプラスチックが見つかる

2022年4月5日に英ガーディアン紙が、22人の健康な大人の血液を調べたところ、17のサンプルからマイクロプラスチックが見つかったとの報道があった。サンプル数は少ないものの、検体の80%にマイクロプラスチックが体内に存在し、人の健康にとって脅威であると結論づけている。

企業が行っている脱プラスチック




我々の生活を豊かにしてくれるものの一つにプラスチックがある。プラスチックは軽量で比較的耐久性があり、加工がしやすく分解されにくい特徴がある。その反面、紫外線に弱く波に揺られると小さな破片(マイクロプラスチック)となり、海洋生物が餌と間違って捕食し消化できず死滅させる被害が発生している。またプラスチックを食べた生物を人が食べることで、人の体内にプラスチックが蓄積し、体内異常を起こさせる事例も出ている。
これらのことが世界的な問題となり、脱プラスチックを行う企業が増加した。そうしたプラチックゴミ削減に取り組む代表的な企業をいくつか紹介する。

①スターバックス
https://stories.starbucks.co.jp/ja/press/2021/pr2021-4004/
アメリカのシアトルに本拠を置くコーヒーチェーン。2018年7月にプラスチック製ストローの使用を2020年までに世界中の店舗から廃止することを発表し、海洋保護団体からの賛同を得た。日本では、2021年2月にアイスコーヒーとアイスティー2種の計3品目を、使い捨てプラスチックからペーパーカップとストロー不要のリッドに変更。2021年4月16日(金)より順次対象商品を23品目へ拡大した。これはによりアイスビバレッジの約70%、年間約6,700万本分のストローと、その同数(約6,700万杯分) のプラスチックカップ削減効果を生んだ。
②マクドナルド
https://www.mcdonalds.co.jp/sustainability/environment/paper_cup/
アメリカに本社を置くファストフードチェーン。日本での事業運営は、日本マクドナルド株式会社が担っている。2018年6月に英国とアイルランドの計1361店舗でプラスチック製のストローを紙製のストローに、日本でも2022年2月より、横浜エリアの一部店舗で紙ストロー、木製カトラリーを導入。アイスコーヒーのカップ・ストローの原料(紙)・個包装の紙、カトラリーの木材・個包装の紙はすべてFSC認証材を使用している。持ち帰り用の袋は紙袋を基本とし、プラスチックバッグの使用を極力減らすとともに、バッグの素材を植物由来の原材料からつくったポリエチレンを使用。



③ディズニー
http://www.olc.co.jp/ja/sustainability/environment/reduce_plastics.html
1923年にウォルト・ディズニーらによって設立された会社。「東京ディズニーリゾート」はオリエンタルランドが運営している。
2018年の7月アメリカにあるディズニーの使い捨てプラスチック製ストローとマドラーを廃止。2019年までに全世界で廃止することを発表。これにより、ディズニーは年間でプラスチック製ストローを1億7,500万本、プラスチック製マドラーを1,300万本削減できるとしている。
2019年3月、「東京ディズニーリゾート」を運営するオリエンタルランドはテーマパークレストラン等でのプラスチック製ストローやビアカップを紙製に変更。これまで無料提供していたお買い物袋を有料化することで、更なる削減を目指している。
④ハイアット
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000064.000008031.html
世界大手ホテルグループの「ハイアットホテルズコーポレーション」は、シカゴの資産家プリツカ一家によって創業され、現在は世界各地で500軒以上のホテルを経営している。2018年9月1日から、世界各地のハイアットホテルでのプラスチック製ストローとドリンクピックを廃止。代替品は環境にやさしい竹や紙製のものを使用する。2019年11月からは、バスルームアメニティ(シャワージェル、シャンプー、コンディショナー、ローションなど)バスルームのアメニティを大型容器に変更、ホテルの公共スペースに給水所を増設などを行っている。



⑤ユニリーバ
https://www.unilever.co.jp/planet-and-society/approach-to-plastic/
オランダとイギリスに本拠を置く多国籍企業。一般消費財メーカーとして、食品や洗剤、ヘアケア、トイレタリーなどを製造・販売している。
2025年までに、プラスチックパッケージを100%再利用可能・リサイクル可能・堆肥化可能に変更。非再生プラスチックの使用量を半減する。販売する量よりも多くのプラスチックパッケージの回収・再生を支援するという。
⑥日清食品
https://www.nissin.com/jp/sustainability/environment/business/eco/
大阪市と東京都に本社を置く日本企業。インスタントラーメンの草分けとなった「チキンラーメン」や「カップヌードル」が有名。2008年から「カップヌードル」の容器は紙製の「ECOカップ」を使用していたが、2019年12月からはさらに環境負荷の低い「バイオマスECOカップ」の使用を使用し石化由来のプラスチックに比べバイオマス度を81%に引き上げた。さらに石化由来プラスチック使用量がほぼ半減ている。2021年度中に全量の切り替えが完了した。またプラスチックトレーの不使用、チルド製品では調理時の水使用量やCO2排出量が少ない製品なども販売している。



⑦セブンイレブン
https://www.sej.co.jp/csr/environment/resources.html
日本におけるコンビニエンスストア最大手の「セブンイレブン」は、アメリカ発祥のコンビニエンスストア。日本では「株式会社セブンイレブンジャパン」が事業展開を行っている。2019年6月に、全国で販売している全てのおにぎりの包装やスプーンやフォーク、レジ袋等を植物由来の「バイオマスプラスチック」配合に変更。は環境に配慮したバイオマス素材30%配合環境配慮型のみ
この新しい包装は、原料の一部にサトウキビを用いた素材で作られており、「脱石油」の取り組み強化の狙いが込められている。
脱プラスチックはこれから加速する




未だ廃プラスチックは世界で年間約800万トンにものぼり、適切に廃棄されなかった廃プラスチックの多くは海に流れ、海洋生物がプラスチックを誤飲してしまう例も多発。最終的には、それが食物連鎖によって人間の身体への健康被害も予測されている状況である。
日本はこれまで廃プラスチックの半分を中国に輸出していたが、2018年に中国が廃プラスチックの輸入を停止したため、東南アジアや台湾などへ輸出してきた。しかしこれらの国々も他国からの輸入を制限する動きを見せており、マレーシアでは、リサイクルコストがかさむことを恐れた業者が廃プラスチックを放置したことで、火災が相次いでいるという。
またプラスチックを燃やすことでCO2が発生し、地球温暖化に拍車がかかることも懸念されています。現在でも多くのプラスチックは石油を原料につくられています。脱プラスチックを達成するには、一人一人が環境と健康に対する意識を高め、プラスチックを「製造しない、使用しない、廃棄しない」を実行できるかにかかっている。
あなたはどう行動しますか?

参考
プラスチックごみの削減に取り組んでいる企業17選
https://business-textbooks.com/plastic-waste-reduction-company/
脱プラの現状と課題とは?大手10社の取り組み事例まとめ【2021年最新版】
https://ideasforgood.jp/2021/12/20/reduce-plastic/
プラスチックゴミ削減へ新たな法律 企業の対応は
https://www3.nhk.or.jp/sapporo-news/20220406/7000045189.html
体の中を駆け巡っているかも…ヒトの血液から初めてマイクロプラスチックが見つかったって
https://news.yahoo.co.jp/articles/a5a124544f69aa314e15b6bc3d45866e4bbcc43f
プラスチックはえらんで減らしてリサイクル
https://plastic-circulation.env.go.jp/

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