がん細胞は毎日5000個できている 末期がん患者がYoutubeを配信する思い

人生

がん細胞は毎日5000個できているといわれている。それを免疫細胞(リンパ球)ががん細胞を見つけ出しその都度退治するが、ストレスや体調不良が続くと免疫が落ちる。これにより発生するがん細胞の数が、免疫で退治できるがん細胞の数より上回ることで体ががんに侵されるようになる。



がん治療も日々進化し、アメリカで行われたある小規模な臨床試験では、薬の服用だけで参加者全員のがんが消失する結果が確認されるという「前代未聞」の薬が開発されたという。
しかしこれが実用化されるまでには年単位の治験が必要であり、いま生きている思いを伝えるために、自身の末期がん闘病生活をリアルタイムでYoutube配信する患者が増えている。

がん細胞は1日5000個発生

がん細胞は、健康な人の体でも1日5000個できることがわかっている。がん細胞が発生すると、その都度免疫細胞(リンパ球)が「異物」と認識し退治する。
しかしストレスや体調不良、悪い食生活などが続くと、ミスが発生しがん細胞すべてを退治できなくなる。生き残ったがん細胞が、やがて増殖し「がん」となっていく。
1つの細胞が細胞分裂し1センチのがんになるまで、一定の時間がかかる。さらに今の技術では、1センチ以下のがんは検査しても、発見が困難。



1つのがん細胞が細胞分裂で1センチの乳がんに成長するには、30回の分裂と15年という年月がかかるが、1センチのがん細胞が2センチになるには、細胞分裂3回で1年半という短い期間で成長する。
このように、がんは一定の大きさ以上になると、急速に増殖するため、検診を1~2年ごとに受けることが推奨されている。

がん細胞も自ら生きるために転移する

がん細胞も仲間を増やし自らを生き延びさせるために、栄養豊富な場所に移動する。そのため周囲だけでなく体の遠くの細胞に転移する。がんの転移は、がんの種類によって転移(浸潤)しやすい場所がある。

① 肺がん
・肺(反対側の肺や同じ肺内で浸潤)
・肝臓
・脳
・骨
② 乳がん
・肺
・肝臓
・脳(肺を経由して)
・骨



③ 胃がん
・腹膜
・肝臓
・近くの臓器へ浸潤(結腸・膵臓など)
④ 大腸がん
・肺
・肝臓
・近くの臓器への浸潤(膀胱・膣など)
・脳(肺を経由して)

⑤ 肝臓がん
・肺        など
胃がんによる「5年生存率」「10年生存率」と死亡率

がん治療が終わって5年間再発しなければその後も大丈夫と思っていないだろうか。
胃がんによる「5年生存率」をステージごとに表すと次のようになる。(全国がんセンター協議会HP)、

ステージ1  97.4%
ステージ2  65.0%
ステージ3  47.1%
ステージ4   7.2%

ただこの数字は「生存している人の割合」であり、完治した人の割合ではない。この中には「途中でがんが再発し治療を受けながら5年後に生存している人」や「手術でがんが完全に取り切れず闘病しているが5年間乗り切っている人」なども含まれている。



「10年生存率」のステージ2の患者は52.2%となっており、5年間に再発や転移で約13%の方が亡くなっている。このように胃がんステージ2の場合、治療を行っても、およそ2人に1人は再発や転移が見つかり亡くなっており、再発がいかに多いかということが分かる。

それでも生きた証や生き様を知ってほしい

余命宣告を受け、命の綱渡りを続けながらYoutubeで表現活動をする人々がいる。
【Google検索「youtuber がん」】
Youtuber「ミミポポ」さんは、がんサバイバーの中でも高い人気を誇る(登録者数4.7万人)。
彼女は約10年前、26歳の時に乳がんを発症する。当時はステージ0の状態で東洋医学などの自由診療を選択し、2年後にはいったん腫瘍が収縮した。

しかしその約2年後には腫瘍が胸から飛び出す「花咲乳がん」へと悪化し、2019年には肺、肝臓、皮下組織、全身骨転移するなど全身に転移したため、余命2か月の宣告を受ける。
当時彼女を担当していた訪問看護師との会話で、「あなたと話していると元気をもらえるから、何か発信してみたら?」と背中を押されYoutube動画配信を決めたという。

「闘病経験が誰かの希望になる」

辛い闘病生活の中で彼女の支えとなったのは「今の私にもできることがある」という思いと、『ミミポポさんに励まされた、ありがとう』などの、配信に対する感謝のメッセージ。
「それまでは本当に痛みとの闘いで、死にたいという言葉が出てきてしまいそうな時期もありました。でも、こんな私の闘病経験が、誰かの希望になっていることを、発信を通して感じられた。ギブだけじゃなく、励ましや勇気など、予想外のテイクがある。だから続けていけるんです」と話す。



現在、分子標的薬とホルモン治療の併用が奏功し、2020年には目に見えるがんが消滅し、2021年には骨に転移していたがんも徐々に回復。何と普通に歩けるようになったという。
しかしすべてのがんが消滅したわけでもないようで、最近の検査では肝臓転移の残存していることが判明しており、薬を替えることになったという。「私の日常は奇跡の連続。これからも完治を目指します」と「ミミポポ」さんは話す。

手術せず薬の服用だけで寛解した!

驚きの治験結果が「Newsweek」日本版で報道されている。治験中のがん新療法で18人全員の腫瘍が6ヶ月で消失し、専門医「前代未聞」と驚愕しているという。
この臨床試験は、特定のタイプの直腸がんの患者を対象としたもので、治療薬のドスタリマブを従来よりも早い段階で投与したところ、18名全員が投薬開始から6ヶ月後までに100%のケースで腫瘍が消失し、治験終了時に診察、内視鏡、精密検査のPET、MRIスキャンを実施したが、いずれの手法でも腫瘍の存在が確認されなかったため、完治と判断されたという。試験結果をまとめた論文が6月5日、医学ジャーナル『ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディスン』に掲載された。
【PD-1 Blockade in Mismatch Repair–Deficient, Locally Advanced Rectal Cancer】

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このタイプのがんはこれまで、投薬での治療が効きづらいとされてきた。ただし既存の研究により、治療薬の一種であるペムブロリズマブを転移前の早い段階で投与した場合、腫瘍が安定化や縮小、一部のケースでは消滅することが確認されている。
そこで研究者たちは今回、類似の作用をもつドスタリマブを用い、がんが転移する前の早い段階で投与した場合の効果を確認した。すると、腫瘍の安定化などが確認されたペムブロリズマブを上回り、すべての患者で腫瘍の消失に至ったという。

今回の治験は小規模なもので、効果を確定するにはさらに大規模な試験を実施する必要がある。今後ほかのがんにも適用できないか検討しており、胃がんや前立腺がん、膵臓がんなどの患者での治験を視野に入れているという。しかしすべてのがんに適用できるわけではないという。
がん治療薬の効果が高まり、多くの人ががんから解放され。平穏な毎日が訪れることを願っている。
参考
がん検診のススメ
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/susume/2009/contents2.html
がんの転移とは?5年生存率と死亡率のよくある誤解
https://www.g-ms.co.jp/blog/cancer_metastasis/
全身転移から完治を目指す“末期がん配信者”2人が伝えたいこと
https://news.yahoo.co.jp/articles/13af6ec1b5aaa064ceda86fcb08500a0f69f5d4e
【ニューズウィーク日本版】治験中のがん新療法、18人全員の腫瘍が6ヶ月で消失 専門医「前代未聞」
https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/06/186.php

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