すでに夏本番!? 電力逼迫による節電と政府の「節電ポイント」は

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6月中旬といえば例年、「ジメジメの梅雨、真っただ中」であるが、今年の6月はすでに夏本番の暑さ!体温越えが各地から報道されている。
政府からは節電の要請と「節電ポイント」の活用を促している。しかし「節電ポイント」については今後中身を詰めていくという。電力逼迫の原因とその解決法、「節電ポイント」使うときの注意点などを探ってみた。

電力逼迫の原因

政府が5月27日に「2022年度の最新の電力需給の見通し」を発表し、夏と冬は全国的に電力不足になる可能性があることを公表した。萩生田光一経済産業相は「節電が必要だ」と危機感をあらわにしている。



この中で「どのくらい供給できる電力があるか」の余力を示す「予備率」を見ると、東北・東京・中部の3電力のエリアは最低限必要とされる3%ギリギリであり、電力に余裕のある地域から送電してもらう「広域融通」を加味しても最も厳しい数字となっている。
大きな原因に、

① 3月の福島県沖地震の影響で、東北電力などの複数の大型火力発電所が長期停止に追い込まれたこと
② 関西電力の高浜原発3号機で伝熱管の損傷が見つかり、5月に予定していた再稼働時期が見通せなくなったこと
③ 新型コロナ禍で停滞していた経済活動の再開に伴い、電力需要が増えたこと
④ 再生可能エネルギーによる発電が増えたことで、風速や光量などによる電力供給量変動が大きくなり、発電量が安定した発電の見通しが難しくなった
⑤ 発電費用が割高な古い発電施設の老朽化により、発電施設の休止や廃止が行われたため、安定した発電の見通しが難しくなった
⑥ 大都市圏を中心にテレワークが浸透しており、家庭での電力使用量が上がる傾向が見られる

などがあげられる。

行動時間帯を考えた節電

電力消費が増える時間帯は大きく2つある。

①午前11時~午後 3時
②午後 5時~午後 8時

①はエアコンの使用電力量増加であり、②は夕食の調理が大きな要因と考えられる。

逆に言えば、この時間帯の電力使用量をいかに減らすかが電力の「予備率」の向上に繋がり、停電の発生を防ぐことができるといってもよいのではないだろうか。
エアコンも使わないのではなく、使い方の工夫一つで使用電力量は大きく変わる。例えばエアコンの使用前には必ずフィルターや内部の掃除をして欲しい。掃除せずに使うと年間の電力使用量が約25%上昇するとの試算がある。

日中の節電

部屋の温度を下げる工夫が重要である。すでに多くの方が取り組んでいると思うが次のことにも気をつけて欲しい。
① カーテンは遮熱カーテンに変更する
② すだれやよしずは家の外に設置する
③ 建物の対角線上の窓を開け風通しを良くする
④ クーラーを使うときは扇風機を併用し、室内温度を下げすぎない
⑤ 空調機メーカーの調べでは、外出時間が日中に35分以内、夜に18分以内であれば、クーラーを「つけっぱなし」にした方がお得(諸説あり)



⑥ エアコンの室温設定を下げるよりも、風量を強めた方が体感温度が下がって涼しく感じられる
⑦ 家族が一つの部屋で過ごす時間を増やし、その部屋だけエアコンをつける
⑧ 使っていない部屋の照明を消す
⑨ 朝、水筒に冷たい飲み物をつくり、冷蔵庫の開け閉めの回数を減らす
⑩ 湯を沸かすとその熱で室温が上がりやすくなるため、長時間下ゆでるものは電子レンジで加熱する

夜間の節電

① 湯沸かしポッドを頻繁に使わないよう、魔法瓶(まほうびん)に沸かしたお湯をいれてそれを使う
② できれば9時以降に風呂は家族で順番に連続して入る
③ 消費電力の多いドライヤーやアイロンは9時以降に使う



④ 洗濯機はタイマー機能を使い、午前3時以降に動かし、朝食前に干す
⑤ 掃除は朝食後の11時まで、または午後9時以降行う
このような使用回数を減らし、時間帯を考えた使い方をするなど、日常生活のちょっとした一工夫が省エネ&財布に優しい生活になる。

政府の「節電ポイント」

『節電ポイント』とは、電力需給がひっ迫する時期に電力会社が節電を要請した際に、過去の使用量に比べて節電した電力量に応じてポイントがもらえるという制度のこと。そのポイントが買い物などに使えることから、実質的に電気代が安くなる。

政府としての制度設計はまだこれからだが、部の電力事業者は、この夏の逼迫回避に向けて、節電ポイント付与の取り組みを発表している。
活用には、

① 事前に「節電ポイント」登録をする
② 逼迫時に節電協力要請に従って節電する。過去の使用量と比べて節電した割合に応じてポイントになる
③ 1キロワット時(kwh)あたり5円から10円分のポイントが付与される予定

月260kwh使用という平均的世帯(平均電気使用料は大体8500円ぐらい)が3%節電すれば、電力使用量が8kwh減るので、月40円から80円分のポイントがもらえるが、この1年間で25%以上(1700円前後)値上がりしており、月数十円のポイントでは、焼け石に水。手間を考えるとその効果は限定的といえよう。



ただテレワークなどで家庭での電力使用量があがっている場合はそれなりに効果が出る可能性があるが、仕事をしないわけにもいかず頭の痛い状況になりそうだ。
政府としては節電プログラムに参加させようと2000円相当のポイントを支給すると共に、電力会社の節電ポイントに国がさらに上乗せする方針を明らかにしているので、今後の状況を見極める必要はありそうだ。

参考
<Q&A>今年の夏と冬に迫る電力不足の危機 なぜ供給余力が厳しくなったのか?
https://www.tokyo-np.co.jp/article/181417
「節電の夏」を賢く過ごす 家庭の電力消費抑えるコツは?
https://mainichi.jp/articles/20220625/k00/00m/020/111000c
一般家庭の一日の消費電力
https://standard-project.net/energy/statistics/energy-consumption-day.html
物価高対策に「節電ポイント」は有効なのか【播摩卓士の経済コラム】
https://news.yahoo.co.jp/articles/0599b74e5e27513766a6429bdf198d050b2ffc41

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