オミクロン株の感染力と今後の変異 年末年始の過ごし方で来年の感染状況が変わる

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お正月まであと1週間。そろそろどう過ごすかが決まってくる時期ではないだろうか。ここ2年間、新型コロナウイルスのために帰省や旅行、忘年会・新年会などが行えないお正月であったが、今年はすでに様々な予定を立てている人も多いと思う。
しかしここに来て、「オミクロン株」による市中感染がじわりじわりと増え、「オミクロン株」は「デルタ株」と違い、年齢の若い人にも急速に広がっているという。「オミクロン株」の特徴を知り、年末年始の過ごし方やウイルス根絶のために出来る事を考えよう。

東京・大阪・京都・沖縄に次いで神奈川・山口でも
○東京都は24日、都内で海外への渡航歴がなく感染経路がわかっていない医師1人がオミクロン株に感染していることが確認され、た。医師は診察の際に感染防止策を講じていたため、診察した患者に濃厚接触者は該当しないとなっているが、勤務先のクリニックの従業員と受診した患者に対し、検査を受けるよう呼びかけている。
○22日に大阪府で「オミクロン株」が初めて判明した。海外渡航歴のない30代両親と未就学児の3人が感染していた。23日には京都府でも感染経路の追えない20代女性の感染が明らかになったほか、大阪府内の小学生の男子の感染も判明している。



○沖縄県は23日に、アメリカ軍キャンプハンセンに勤める日本人の従業員など4人の感染確認が発表された。
○京都府は24日、新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に新たに3人が感染したと発表した。京都市の30代女性と、城陽市の30代女性と精華町の50代男性。いずれも海外渡航歴はなく、府は市中感染とみている。



○神奈川県は24日、県内に住む30代の男性が新型コロナの変異ウイルス、オミクロン株に感染している疑いがあると発表。県内に住む30代の男性は、今月18日にアメリカから帰国し、空港の検査では陰性であったが、同じ飛行機に乗っていた人がオミクロン株に感染している疑いがあるため、濃厚接触者に該当するとして自宅で待機していた。
○山口県は24日、米軍岩国基地(同県岩国市)に勤務する日本人の30代男性従業員が新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」に感染したと発表。中国地方でのオミクロン株の感染確認は初めてとなる。男性に海外渡航歴や帰国者との接触がないことなどから、県は市中感染ではなく基地内で感染した可能性が高いとみている。

新型コロナ対策分科会の尾身茂会長の会見から

23日の会合の後、尾身茂会長は「感染がある程度広がることはもうストップできないと思う」「今後の目標は重症者をなるべく減らし、医療の逼迫(ひっぱく)を防ぐことだ」と指摘している。
判断した理由は、

①65歳以上の高齢者がワクチンを接種した割合が、1回目接種者92.03%、2回目接種者91.65%と高いため重症化しにくいと考えられる
②ワクチンによる発症予防効果はデルタ株が約70%、オミクロン株は約20%にとどまる可能性が報告されている
③病床使用率が22日時点は沖縄で4%、東京と大阪は2%など各地で低い

と指摘し、ブースター接種も来年早々にも開始される予定。さらに厚生労働省は24日、米メルク製の新型コロナウイルス治療薬「モルヌピラビル」を承認し週明けにも医療現場で使えるようになる見通もある。



現在死者数も12月は22日時点で23人であり、一時は2千人を超えた全国の重症者数も28人(22日時点)と少ない。

尾身茂会長から「国民へのお願い」
①早期の検査
・少しでも体調が悪い場合は外出を控え、医療機関を受診し検査をする
②慎重な行動
・帰省や旅行をする場合は事前に検査を行う
・忘年会や新年会を飲食店でする場合、第三者認証店を選び、少人数で行う
・初詣、成人式、イベントなど、可能な限り混雑を避ける
③早期のワクチン追加接種(ブースター接種)
・自分の順番が来たら、ファイザー・モデルナに関わらず、すぐに接種を行う

今後も新型コロナウイルスの変異は起きる

世界中で「オミクロン株」が急拡大している。いまも世界中の研究者がゲノム解析を通じた変異ウイルスの追跡作業が行われている。
これまで世界で流行した主な型は次の7種類

【VOC(懸念される変異ウイルス)】
α(アルファ株)2020年末~2021年年頭に英で流行し、感染性が高く日本の第4波で流行
β(ベータ株)2020年末~2021年年頭に南アなどで流行し、免疫逃避が指摘される
γ(ガンマ株)2020年12月頃ブラジルなどで流行し、免疫逃避が指摘される
δ(デルタ株)2021年3月頃インドで流行し、感染性・重篤度が高く、日本の第5波で流行
ο(オミクロン株)2021年11月南アなどで流行し感染性の高さと免疫逃避が指摘される



【VOI(注目すべき変異ウイルス)】
λ(ラムダ株)2021年6月ペルーで報告され、南米で流行
μ(ミュー株)2021年8月コロンビアで報告され、南米で流行し、免疫逃避が指摘される

ウイルスはこれまでもヒトの体内でより増えやすく、そして集団全体で感染をより広げやすいよう、変異と選択を繰り返してきた。またいまも世界中のどこかで変異を始めている可能性がある。
各国のウイルスのゲノム解析結果を基に変異状況を追跡している国際研究プロジェクト「Nextstrain」の解析では、オミクロン株の祖先にあたる変異ウイルスがその他の変異ウイルスから分岐したのは、アルファ型の流行よりはるか前の2020年3~5月ごろだった。つまり、オミクロン株は20年の春以降、1年以上にわたって一切ゲノム解析という監視網に引っかかることなく、水面下で変異を蓄積してきたことになる。



この謎について現在3つの仮説が提唱されている。

①ゲノム解析が行われていない国で変異の蓄積が進んだとする説
②ヒト以外の動物の体内でウイルスの変異が進み、それがヒトに再び感染したという説
③免疫不全の患者の体内でウイルスの感染が長期間続き、その間に変異が進んだという説

免疫不全のヒトの体内にはウイルスが残り続けることがある。免疫系が弱い攻撃しか繰り出さない環境に長く置かれると、ウイルスは免疫から逃避する変異を蓄積しやすい。実際に南アではエイズウイルス(HIV)に感染した患者が半年以上新型コロナに感染し続けた事例が報告されている。体内でウイルスの変異が蓄積し、いくつかの変異はオミクロン株と共通の箇所で起きていたようである。
現在も誰かの体内に大量の変異を蓄積したウイルスが存在しており、その一部が世界中に感染を広げるという現象が今後も繰り返されるのかもしれないと考えられている。

おわりに

オミクロン株の症状についてはデルタ株と比較して重篤度が低いとする報告があり、このまま新型コロナウイルスの病原性は弱まる方向に進むのでは、という希望的観測もある。しかし、出現前から変異ウイルスの性質を予測することはとても難しい。世界的な終息までには時間がかかると考えられるが、体内に新型コロナウイルスを残さないためにも、体調に変化があれば検査を受け、治療を行い、ウイルスの根絶を図る必要がありそうだ。

参考
大阪で男子児童がオミクロン株感染、市中感染か 同級生3人もコロナ陽性
https://www.tokyo-np.co.jp/article/150693
オミクロン株 東京で4人感染確認 1人は“都内初の市中感染”
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211224/k10013402451000.html
オミクロン株、都内で初の「市中感染」確認 大阪、京都に続き
https://news.yahoo.co.jp/articles/f84db04d6dc051ca9b344183fe66314d6d577d78
オミクロン株 相次ぐ“市中感染” 政府 3回目接種など対応急ぐ
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211224/k10013401471000.html
オミクロン株 神奈川県で初の感染疑い 30代の男性
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211224/k10013402181000.html
京都で新たにオミクロン株3人感染 いずれも市中感染か
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/699751
山口県でオミクロン感染初確認 米軍岩国基地の日本人従業員
https://mainichi.jp/articles/20211224/k00/00m/040/156000c
日本国内のワクチン接種状況
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/vaccine/progress/
まずい変異がてんこ盛り オミクロン型出現のわけ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC212PC0R21C21A2000000/
どうする年末年始、尾身氏は3つの「お願い」 強い行動制限は求めず
https://www.asahi.com/articles/ASPDR6RQBPDRULBJ00N.html
尾身氏が発表した「国民へのお願い」
https://www.asahi.com/articles/photo/AS20211224001953.html?iref=pc_photo_gallery_2
どうする年末年始、尾身氏は強い行動制限は求めず 第5波との違いは
https://news.yahoo.co.jp/articles/3ba6ea3c892f7f32fe095024e51b7141a8561694
コロナ軽症飲み薬、国内初承認 週明けにも使用開始
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA242M80U1A221C2000000/

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