小麦の生産国2国が戦争と北米の不作で今後も輸入小麦は高騰する

生活

日々の生活に欠かせない小麦が高騰している。パンにうどん、パスタ、ラーメンに餃子など、様々食品に使われている。今戦争をしているロシアとウクライナは、小麦の2大生産国。軍事侵攻が激しくなれば供給はもとより今年の植え付けにも影響が出ることに。さらに北米の不作が価格の高騰につながっている。他の生産国も生産を上げられない大きな問題を抱えていた。

価格高騰の理由と輸入先

日本政府は、4月から輸入した小麦を製粉会社などに売り渡す価格を引き上げた。この価格は、過去2番目に高い水準となった。

「農林水産省:輸入小麦の政府売渡価格の改定について」より
価格が高騰している理由は3つ、

①昨年夏の高温・乾燥による米国、カナダ産小麦の不作の影響が大きく、9月以降も小麦の国際価格が高水準で推移したこと。
②米国、カナダ、豪州の日本向け産地における品質低下等により、日本が求める高品質小麦の調達価格帯が上昇したこと
③ロシアの輸出規制、ウクライナ情勢等の供給懸念も、小麦の国際価格の上昇につながったことから、前期に比べ上昇した。




この結果、令和4年4月期(令和4年4月~)の輸入小麦の政府売渡価格は、直近6か月間の平均買付価格を基に算定すると、5銘柄加重平均(税込価格)で72,530円/トン、令和3年10月期と比べて17.3%の引上げとなった。
これに伴い、大手製粉メーカーの「日清製粉」「ニップン」「昭和産業」は、業務用の小麦粉をことし6月20日の納品分から値上げすることを発表。

日本は高品質の小麦を輸入している

日本政府が主に輸入している外国産小麦は、北米とカナダ、オーストラリアの5銘柄

①カナダ産ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)
主にパン用
②アメリカ産ダーク・ノーザン・スプリング(DNS)
主にパン・中華麺用
③アメリカ産ハード・レッド・ウィンター(HRW)
主にパン・中華麺用
④オーストラリア産スタンダード・ホワイト(ASW)
主に日本麺用
⑤アメリカ産ウェスタン・ホワイト(WW)
主に菓子用





「農林水産省:輸入小麦の政府売渡価格の改定について」より
これとは別に生産者から民間流通で製粉企業等が直接買い付けているため、少数のロシア産やその他の国からの小麦が日本に入ってきている。

穀物価格はどの様に決められるのか

小麦をはじめ様々な穀物価格は、世界の市場価格が反映されるため、直接的にロシアやウクライナから購入しなくても変動することになる。
世界の小麦輸出量が多い国のランキング(2020年)は次の通り。

1位 ロシア---3726万7014t
2位 アメリカ--2613万1626t
3位 カナダ---2611万 509t
4位 フランス--1979万2597t
5位 ウクライナ-1805万5673t
(2020年 FAO=国連食糧農業機関)

ロシアとウクライナから輸出される小麦が、世界全体の3割を占めるため、大きく変動しているといえる。


今後の動向として考えられることは
①シカゴ市場の先物取引価格が世界の穀物市場に大きな影響を与えている。3月以降、シカゴ市場の穀物価格が前年比で大きく上昇し、小麦は5割、トウモロコシは3割、大豆は2割以上上がった。さらに為替相場が円安に振れることで、価格がさらに上昇している。
②日本の小麦輸入は政府によって一元的に行われ、政府が決めた売り渡し価格で国内メーカーに売り渡される。2022年4月の小麦売り渡し価格は17.3%の上昇が見込まれる。そこから製品価格に転嫁されるため、食料品価格の波及は1年近くかかるため、今後も価格上昇が見込まれ、今年10月の価格改定時にはさらに4割以上の価格上昇となる可能性がある。これは、2019年度後半対比2.3倍程度の売渡価格になる。
③これまで最も小麦売り渡し価格が2007年10月に立て続けに上昇した。この時、平均世帯の食料費年間増加額は、二人以上世帯では0.5+0.6=1.1万円、勤労者世帯に至っては1.1+0.8=1.9万円増加している。今後の展開次第では、この時以上に家計を圧迫することが想定されている。
④円安による海外産品の値上がりや景気不透明感の高まり、原材料コストの上昇等により、消費が控えられ、特売品などの安いものへシフトしていくことが考えられる。

なぜ小麦の増産ができないのか

小麦生産国が耕作面積を拡大し小麦の増産を図らない理由は、

①ロシアは小麦を育てるのに欠かせない液体肥料の多くを生産しているが、経済制裁のために入手が困難になっている。
②ガソリンや軽油などの燃料費が高騰し、必要な機械を動かすとコストがかさむ。しかしそのコストを価格に転嫁しにくい。
③耕作面積を広げるために必要な機械を注文しても、部品不足から機械が納入されるまでに年単位かかる。

これらのことから、今後も数年にわたって小麦不足が続くといわれている。



海外産小麦の不足を補うまでいかないが、近年国産小麦は100万tを超える年もある。しかし単収の変動が大きくその安定化が課題として挙げられている。海外産に比べて価格がやや高いのも課題ではあるが、小麦価格高騰と円安で国産小麦の価格に近づいている。すでに国産小麦の「ゆめちから」「きたほなみ」を使用した食パンや菓子パンも発売され、餃子と麺類に使用する小麦を国産に100%切り替えた飲食チェーンでてきた。食料の安定供給をどう図っていくか、また国内産の小麦などの振興策にをどう進めていくかも大きな課題となっている。
国際的な小麦の価格が安定するかは、ウクライナとロシアの戦争にかかっており、人道的にも早い終戦が望まれている。

参考
【農林水産省】輸入小麦の政府売渡価格の改定について
https://www.maff.go.jp/j/press/nousan/boeki/220309.html
輸入小麦の価格、なぜ値上げ?ロシアの侵攻で国際価格が高騰
https://smbiz.asahi.com/article/14436378
小麦が高い! それでも生産を増やせない事情とは
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220426/k10013599181000.html
今秋に急上昇が予想される政府小麦売渡価格
https://www.dlri.co.jp/report/macro/183722.html
小麦・小麦粉の価格のしくみ
https://www.nisshin.com/entertainment/encyclopedia/flour/flour_04.html
輸入小麦高騰 売り渡し価格 過去2番目の7万2000円台 農水省
https://www.jacom.or.jp/nousei/news/2022/03/220309-57400.php

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