脂肪細胞の代謝を高めるスイッチ「マイクロRNA」、肥満の予防や治療に期待高まる!

健康

京都大などのチームは、体内の脂肪細胞が熱を生み出す新たな仕組みを明らかにしたと発表した。細胞膜の材料になるコレステロールの合成に必要な遺伝子を制御する「マイクロRNA」という分子が脂肪細胞の代謝を高めるスイッチのように働き、積極的に脂肪を「燃やす」ことを突き止めた。この研究成果は2月16日、科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

脂肪が体につく理由

動物は進化の過程で常に飢餓と戦ってきた。我々の祖先も、狩りをし、野生の木の実や果実を採って生きてきたが、必ずしも獲物を毎回得ることが出来ない。そのため余分なエネルギーを摂取した際は、次の飢餓に備えるため脂肪というかたちで蓄え、生き延びてきた。現代では一度身につけた体内の飢餓に対する防衛システムが仇となり、脂肪の蓄積となって現れている。


「太らせる脂肪」と「燃やす脂肪」の2種類ある

脂肪細胞には「太らせる脂肪(白色脂肪細胞)」と「燃やす脂肪(褐色脂肪細胞)」の二種類があり、それぞれ違う働きを担っている。
「太らせる脂肪(白色脂肪細胞)」
白色脂肪細胞は、一般に「脂肪」として認識されているもので、体内で使い切れず過剰となったエネルギーを中性脂肪として蓄える働きがあり、「脂肪太り」の原因となる細胞。皮下や内臓の周囲に多く存在している。
出典:日本医学会、杉浦 甫教授、脂肪細胞の増殖
「燃やす脂肪(褐色脂肪細胞)」
褐色脂肪細胞は、脂肪を減らす機能を持った細胞で、大量のミトコンドリアを含んでおり、ミトコンドリアが鉄を豊富に含んでいるため褐色に見える。ミトコンドリアにはグルコースや脂肪を燃料にしてエネルギーを作り出す働きがある。成人では、首回り、肩甲骨付近、腎臓の周り、胸部大動脈周辺に少量存在している。
出典:大島泰郎 著、生化学辞典 第4版、東京化学同人、2007、p285
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「マイクロRNA」の働き

これまでは体を低温にさらしたり、有酸素運動をして脂肪を燃焼させるのが一般的であった。京都大などのチームが発見したのは、細胞膜の材料になるコレステロールの合成に必要な遺伝子を制御する「マイクロRNA」という分子が脳内で交感神経を活性化させ、褐色脂肪細胞の代謝を高めることが研究で分かった。
チームの尾野亘(こう)・京大准教授(循環器内科)は「マイクロRNAをコントロールすることで、肥満の予防や治療につながることが期待できる」と話しているという。

交感神経の刺激をコントロールする薬が出来ると「肥満症」や「生活習慣病」の治療が飛躍的に進むと考えられるが、一歩間違えると身体に異常をきたすことにもつながる。成果を焦らず慎重に、そして確実に進めて肥満の予防や治療に成果を上げて欲しいと願っている。

参考:脂肪を燃やす新たな仕組み解明、肥満治療に期待 京大

https://www.asahi.com/articles/ASP2J3F13P2HPLBJ002.html

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