ヒト皮膚組織内三次元蛍光可視化でシミ・色ムラに対応した美白アプローチの開発へ【コーセー(株)と東北大学共同研究】

科学

東北大学は、株式会社コーセーと共同し、世界で初めて、シミの原因となるメラニン色素そのものをヒト皮膚組織内において、三次元的に蛍光で可視化することに成功した。

肌の明るさに応じてメラニン色素の量や分布が立体的に分かるため、皮膚内部におけるメラニン色素を広範囲かつ3次元的に解析することができるようになり、この技術を用いてシミ・色ムラ部位でのメラニン色素分布の解析をすることで,ケラチノサイト(表皮細胞)に過剰に蓄積されたメラニン色素に有効な成分の開発や,肌色の異なる人のシミ・色ムラに対応した美白アプローチの開発などに繋げていけるとしている。

この研究の成果


メラニン色素を直接可視化できる蛍光可視化試薬”HA-M-INK”を東北大学 福田 光則教授とコーセーで共同開発した。ヒト皮膚組織内のメラノサイトとケラチノサイトの両方に存在するメラニン色素そのものを蛍光観察することに成功。このHA-M-INKを用いて、フランスで様々なスキンフォトタイプの皮膚を解析したところ、肌の明るさに応じてメラニン色素の量や分布が大きく異なることを実証した。さらに、HA-M-INKを、皮膚組織内を立体的に観察可能な共焦点レーザー顕微鏡と併用することで、皮膚内部におけるメラニン色素を広範囲かつ3次元的に解析することができるようになった。

日本国内だけでは様々なフォトタイプの新鮮皮膚の調達が難しいが、コーセー(株)が2017年10月にフランス リヨン市に開設した「研究所 フランス分室」により、新鮮皮膚が入手でき、速やかに観察を行うことでメラニン分布やメラノサイトの形状などが生体内により近い状態で観察することができた事が大きい。
この研究は、2020年6月に開催された第20回国際色素細胞学会(IPCC)で発表し、2020年11月の学術論文雑誌「International Journal of Molecular Sciences」に掲載された。

今回開発したメラニン色素の生成を立体的に把握する技術で、過剰に蓄積されたメラニン色素に有効な成分の開発などが期待されている。

参考:

【東北大学】世界初、ヒト皮膚組織内のメラニン色素を蛍光で可視化 フランスにて様々な肌色の皮膚組織により実証
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/2020/12/press20201224-06-ink.html
世界初、ヒト皮膚組織内のメラニン色素を蛍光で可視化フランスにて様々な肌色の皮膚組織により実証
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv_press20201224_05web_ink.pdf
メラニン色素を可視化する新規ツール(M-INKエムインク)を開発【報道資料】
https://www.tohoku.ac.jp/japanese/newimg/pressimg/tohokuuniv-press20170119_01web.pdf
日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP602441_U0A221C2000000/
添付リリース
https://release.nikkei.co.jp/attach/602441/02_202012241527.pdf

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