植物の光合成メカニズムを哺乳類細胞に移入し細胞の退化と老化が逆転 中国科学研究チームが発表

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12月9日、英国の総合学術雑誌「ネイチャー」が、中国科学研究チームの光合成に関する長文の研究成果を掲載した。この研究は老化して病変が発生した動物細胞内に、ホウレンソウの細胞から抽出した小組織を移入させることで細胞の退化と老化が逆転に成功したという。

植物と動物の細胞の違い

動物と植物の細胞の基本構造は同じだが、細胞を支える「細胞壁」構造と、光合成をおこなう「葉緑体」という違いがある。
植物細胞の一番外側にある「細胞壁」は動物の骨格と同様の役割を果たすとともに、細胞間の連絡や細胞膜を守る役割を担っている。動物は動くため体を支える「骨格」と細胞を維持する「細胞膜」に分かれている。

また植物は「葉緑体」という光合成を行う細胞小器官をもっており、水と二酸化炭素から光を使ってエネルギー源となる有機物を合成するため、動物のように他の動物や植物を摂取してエネルギーや栄養にする必要がない。
植物と動物の共通点も多くあり、動物も植物も真核細胞という細胞に核を持つ細胞からできている。また体の設計図であるDNA(デオキシリボ核酸)を持ち、この遺伝情報を元に身体的な特徴と複製を行う。

さらに植物も夜になり光合成をおこなわないときには酸素を吸収し二酸化炭素を放出している。これは代謝によってエネルギーを得て生命を維持するため。

ナノ化技術で動植物の境を乗り越えた

今回の中国科学研究チームの研究は非常にユニークで世界初の成果。
研究で使われた植物はホウレンソウで、植物細胞が光合成を行う際に、電子伝達の場「生物電池」とも呼ばれるチラコイドを取り出し、老化して病変が発生した動物細胞内に入れ込んだ。チラコイドが移入された動物細胞には、植物の光合成に関連するエネルギーが付与され、細胞の退化と老化が逆転したという。

この時にに開発したのがチラコイドのナノコーティング技術で、哺乳動物の細胞膜をナノ化した植物由来のチラコイドの外層に貼り付ける「細胞膜偽装」と呼ばれる方法で植物類嚢胞を哺乳動物細胞に入れ込み、植物と動物の境を乗り越えて、動物細胞にエネルギー伝達の「秘密の鍵」を獲得させたという。この方法で「動物退行性骨関節炎」疾患の治療に応用し、その効果が検証できた。
現在研究チームは成果発表と同時に特許を申請し、製品化に応用する作業に着手している。

おわりに

これまで動物と植物には大きな差があり、添えを乗り越えるのは難しいと考えられてきた。このような大変ユニークな研究が進み、この研究が起点となり、細胞が活性化させる医療として安全性が確保されたうえで発展することを願っている。

参考
3分で分かる動物と植物の違い!細胞やエネルギー生成の方法・共通点についても理系ライターが分かりやすくわかりやすく解説
https://study-z.net/100184238
植物の光合成メカニズムを哺乳類細胞に移入、治療効果も確認 中国科学研究チーム
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a9b7b879931fc660808edd21defa1fde7b285d9

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