新型コロナ後の生活様式が見え始めている。WHO(世界保健機関)は、1月19日に新型コロナウイルスの専門家による緊急委員会で、「新型コロナに関わる渡航規制を撤廃するか緩めるよう」加盟国に勧告したという。ワクチン接種によりある程度コントロールが可能と考えているためであろう。
国内においても「人流制限」「人数制限」の論議が始まっている。オミクロン株についてはまだまだ分からないことも多いため、過信は禁物であろう。
欧米などで見られた急激な感染拡大が今まさに日本国内で起きている。国内で検出される新型コロナウイルスのほとんどがオミクロン株になっているが、重症化するリスクはデルタ株などと比べると低い。しかし入院人数が急拡大すると第5波の時のようになりかねず、2022年1月1日の456人(検疫での確認除く)と比べ、現在は1日4万人を越えており、新規感染者数が20日足らずで90倍になっている。
オミクロン株も感染経路はこれまでの新型コロナウイルスと変わらない。アルコール等による手指消毒、マスクをつけた生活、口元を抑えた咳エチケットはこれまで通り行うのがルール。
さらに気を付けたいのが「3密」「大声」「会食」であろう。
【大声】マスクを着けずに大声で話したり、カラオケ・応援をすること
【会食】大人数で会話をしながらの飲み会や食事
新型コロナウイルスが広がりやすいのは、飛まつや「マイクロ飛まつ」と呼ばれる密閉された室内を漂う小さな飛まつ。さらにウイルスがついた手で鼻や口などを触ることによる接触感染が起こる。
国立感染症研究所が1月13日に出したオミクロン株に感染したケースの疫学調査の結果では、飲食店での職場同僚との忘年会や自宅での親族との会食など飲食を通じた感染が見られ、飛まつ感染が多いという。
結婚式の披露宴でも感染拡大が起きた例がある。披露宴には1テーブルに8名着席し、参加者の間には仕切りがつけられていたという。無症状の感染者が参加したテーブルでは、正面に座った人たちに広がり、横に座った人には感染しなかったという。会話をすることで「マイクロ飛まつ」が仕切りを乗り越え、周囲に広がったものと考えられている。
NHK オミクロン株 症状は 無症状者からクラスター
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013437281000.html
政府分科会の尾身会長は1月19日に対策のキーワードは「人数制限」だとしたうえで、「オミクロン株の感染経路の調査で分かってきたのは、多くの人が集まって、飲食して、大声を出し、換気が悪い環境で多くの感染が起きているということだ。感染リスクの高い状況に集中して対策を行うことが重要だ。家庭や職場でも人が集まって大声が出るパーティーなど、感染リスクの高い場面を避けることが重要だ」と述べた。
マスクをとった会話や飲食の場面で感染するリスクが高く、厚生労働省の専門家会合は、ワクチン接種者も含めマスクの正しい着用、手指衛生、換気などの徹底を継続することが必要で「1つの密でもできるだけ避けたほうがよい」としている。
NHK オミクロン株 “かつてない感染拡大” 今できることは【1/19】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013438681000.html
WHO(世界保健機関)は新型コロナに関わる渡航規制を撤廃するか緩めるよう加盟国に勧告している。その根拠として実施する価値がなく、経済的・社会的な負担を各国に強いるためだ。
新型コロナウイルスの専門家による13日の緊急委員会は変異型「オミクロン型」が発見された後に各国が導入した渡航制限が感染拡大を防げず失敗だったとして「こうした対策が効果的でないことが明らかになった」とした。しかし委員会では、全会一致で「パンデミック(世界的流行)がいまだ緊急事態である」ことでも合意しているという。
この勧告を受けて、欧米では渡航制限の緩和に踏み切る動きも出ており、米国は2021年12月末、往来制限による抑制効果は乏しいと判断して南アフリカなどアフリカ南部8カ国からの入国制限を解除した。英国はオミクロン型対策として英国に入国する12歳以上の全ての人に義務づけていた検査を1月から廃止しており、英政府は「オミクロンは英国内で支配的な変異型であり、対策はもはや妥当ではない」と理由を説明している。
今後海外への渡航を考えている人は外務省の「海外安全ホームページ」を参考にしてほしい。
外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
日本医師会の中川会長はオミクロン株について「若年層にとってはインフルエンザに近いもの」だとし、経済活動と感染防止の両立を目指す段階に入ったと述べ、高齢者重症化リスクの高い人たちに配慮しながら「経済の再活性化と感染拡大防止の両立を目指す段階に入った」と語った。ただ、「コロナの重症化リスクがインフルエンザより2桁高いことを考えれば危険な感染症であることに変わりはない」「オミクロン株の重症化率が低いとしても感染者が爆発的に増えれば医療体制の逼迫(ひっぱく)につながる」とし、医師会として軽症者への医療体制の整備を図るという。
さらに政府が一時停止を決めたワクチン検査パッケージについては「デルタ株を想定したものであり、オミクロン株の知見に合わせて見直すべき」と指摘した。
参考
WHO、コロナ渡航制限「価値ない」 撤廃・緩和勧告
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR2001I0Q2A120C2000000/
NHK オミクロン株 症状は 無症状者からクラスター
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013437281000.html
オミクロン株 “かつてない感染拡大” 今できることは【1/19】
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220119/k10013438681000.html
外務省 海外安全ホームページ
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
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