全年代で筋肉量を維持・増加させる秘訣は朝食と筋肉の体内時計が重要だった

リッチな時間を 健康

筋肉量の維持・増加は健康管理においてどの年代でも重要だが、特に子供の成長や高齢者には欠かせない。早稲田大学の研究グループが、朝食でのタンパク質摂取は筋肉量の増加に効果的であることがマウスや高齢者を対象にした研究で分かった。これまで食事から摂取するタンパク質は、骨格筋の合成や筋肉量の維持・増加に重要であることは広く知られているが、摂取する時間帯が筋肉量増加に与える影響についてはよく分かっていなかった。

この研究は、国家研究プロジェクト「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」の「次世代農林水産業創造技術」などの支援を受けて行われ、研究成果は6日付の米科学誌「セル・リポーツ」電子版に掲載された。
雑誌名:Cell Reports
論文名:Distribution of dietary protein intake in daily meals influences skeletal muscle hypertrophy via the muscle clock



今回の重要ポイント
①タンパク質摂取による筋量増加効果は、量だけでなくタイミングも影響する
②筋量増加は体内時計を介して引き起こされ、それが正常に機能していることが重要
③朝食時のタンパク質摂取による筋量増加には、筋肉の合成を高める作用が強い「分岐鎖アミノ酸」が関わっている

【ポイント①】タンパク質の摂取タイミングが重要

今回の研究では

・1日の総タンパク質摂取量を揃えたマウスに1日2食の条件下で飼育
・3つの食事タイミング(朝食が多い、夕食が多い、朝・夕食で均等)で比較

<結果>
朝食に多くのタンパク質を摂取したマウスでは、夕食に多く摂取したマウスや朝・夕食で均等に摂取したマウスに比べて筋量の増加が促進された
その結果、1日のタンパク質摂取量が同じ場合、朝(活動期のはじめ)に重点的に摂取した方が筋量の増加には効果的である。

【ポイント②】筋量増加は体内時計を介して引き起こされる

全身の様々な細胞には1周期約24時間の概日時計(体内時計)が備わっており、数十種類の時計遺伝子と呼ばれる遺伝子群によって構成され、様々な生理機能に昼夜のリズムを持たせている。この時計遺伝子が栄養素の吸収や代謝などの生理機能の日内変動を引き起こし、タンパク質やアミノ酸の摂取タイミングによる筋量増加効果が生み出されている。マウスの実験から、朝食と夕食のタンパク質の摂取パターンと筋量を計測すると、摂取タイミングによる筋量の増加効果に筋肉の体内時計が関わることが判明したという。
マウス実験の結果から、65歳以上の高齢女性60人を対象に、3食のタンパク質の摂取量と骨格筋機能との関係を2017年10月から2018年2月まで調査した。その結果、タンパク質量は筋肉量を維持・増加させるために必要とされる1日、体重1キロ当たり1.0~1.2グラムを目安にした。(例 体重60Kgの人は1日当たり60g~72g必要)



さらに、夕食で多くのタンパク質を摂取している人と比べて、朝食で多くのタンパク質を摂取している人の方が、骨格筋肉量の指標である「骨格筋指数」(四肢の筋肉量のキログラム数を身長のメートル数の2乗で割った値)や握力が高いという結果が出た。この結果はとても重要で、高齢者でも骨格筋肉量を高めることで骨折しにくくなる。

【ポイント③】朝食のタンパク質摂取による筋量増加には分岐鎖アミノ酸が重要

筋肉の合成を高める作用が強いアミノ酸の中でも「分岐鎖アミノ酸」に着目し筋肉量増加との関係を調べたところ、「分岐鎖アミノ酸」を朝食に添加したえさを食べたマウスの方が、夕食に与えるよりも筋肉量が増加しやすいことが分かった。他のアミノ酸を添加した実験ではこの違いはなかったことから、朝食でのタンパク質摂取による筋肉量の増加には「分岐鎖アミノ酸」が大きな役割を担っていることが明らかになった。

「分岐鎖アミノ酸(BCAA:バリン、ロイシン、イソロイシン)」を含む食品は、まぐろ、かつお、あじ、サンマ、牛肉、鶏肉、卵、大豆、高野豆腐、チーズなどが有名です。

朝食の工夫で筋肉量Up

「朝からたくさん食べられない」「時間が無いから」という場合には、おにぎり1個やバナナ1本にヨーグルトやシリアル+牛乳など、これまでの朝食に1品増やすだけでも効果があります。パンとコーヒーだけという人は、卵を使った目玉焼きをプラスして「分岐鎖アミノ酸」で効果Up

【牛乳】
乳たんぱく質のホエイとカゼインを含む。100g当たり3.3gのたんぱく質摂取が可能
【ヨーグルト】
牛乳より吸収が速いといわれている。白い部分がカゼイン、上澄みに現れる透明な液体がホエイ
【チーズ】
チーズはホエイの一部を取り除きカゼインを固めたもの。吸収が遅くロングテールで血中たんぱく質濃度を支える
【高たんぱく食】
たんぱく質の総量を増やす場合は、なるべく脂質を避けて肉や卵、ブロッコリーなどの高たんぱくな食材を取り入れる




野菜と果物のスムージーだけという人は、コンビニで売られている「サラダチキン」を割いて野菜に加える、大豆プロテインを加えてみると簡単にタンパク質を補え、栄養バランスを良くなります。
それでも時間がない人は「プロテインバー」1本!?追加でも(笑)

週末の朝は「高野豆腐のフレンチトースト」

「分岐鎖アミノ酸」がたっぷり入った、普段とは少し変わった朝には、
「高野豆腐のフレンチトースト」はいかがでしょうか。
多くの人が挑戦していますが、「パサパサ」「味が染みていない」などうまくいかない人が出ています。原因は高野豆腐は水分がしみこむのに時間がかかること。パンのように卵液に数分しか浸けずに焼くと、中央はまだ硬い石のような状態です。
重要なことは高野豆腐が柔らかくなるまでミルクにじっくり浸し、柔らかくなったところでフォークを突き刺し穴をあけ、さらに厚みを薄くするため、横からスパッと2枚に切ること。この段階でかなり柔らかくなっているので、普通のフレンチトーストの卵液をつくり浸して焼くことで美味しい「高野豆腐のフレンチトースト」が完成します。
【参考】劇的しっとり!丁寧美味しい高野豆腐きな粉フレンチトースト(糖質1.9g)


おわりに

筋肉をつけながら美しい体と体調を維持していくことは、男女を問わず健康管理に重要ですね。「ダイエットのために朝食を抜いて2食で済ませている」「脂肪になりやすい糖質を抑えている」など、食べる量や特定の食品をカットするだけのダイエットは、体にダメージを与えるだけでなく、生活に必要な筋肉や骨量も減少させます。コロナ禍が続いている中、健康的に生活するために、朝食を見直してみませんか。

参考
体内時計に合わせた朝のタンパク質摂取タイミングが筋量増加に効果的(早稲田大学HPより)
https://www.waseda.jp/top/news/73617
朝食でタンパク質をしっかり取るのが筋肉量増加に効果的 早大研究で判明
https://news.mynavi.jp/article/20210715-1923113/
筋トレの効果も上がる?朝食のススメ
https://www.morinaga.co.jp/protein/columns/detail/?id=31&category=muscle
筋トレ効果高める「朝のたんぱく質」 鍵はロイシン
https://style.nikkei.com/article/DGXMZO46944100U9A700C1000000/
簡単。失敗無し。世界一のフレンチトースト(CookPadより)
https://cookpad.com/recipe/2979535

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