ウクライナでも活躍する「スターリンク」 2023年末までに全米でiPhone14で直接衛星通信が可能に

テクノロジー

現代は「情報」の時代。情報をもつ者が勝者となるなど、その価値は極めて高い。ウクライナが戦い続けられるのも米SpaceX社の衛星インターネットサービス「Starlink」(スターリンク)があるからと言っても過言ではなかろう。

米SpaceX社は2022年8月25日(米国現地時間)、衛星通信網「Starlink(スターリンク)」の第2世代において、衛星とスマートフォン(スマホ)を2023年末までに全米で直接通信できるようにすると発表した。

衛星通信網「Starlink(スターリンク)」とは

スターリンクはスペースX社が運営する衛星インターネットコンステレーション(多数の衛星を使うインターネットシステム)で、地球上のほぼ全ての地域に衛星インターネットアクセスを提供している。 この衛星コンステレーションは、2021年半ば時点で1600機を超える衛星が打ち上げられ、高度550kmの地球低軌道(LEO)上に最大4万2000機のスターリンク衛星投入を計画しているという。




この衛星インターネットコンステレーションのメリットは、高度36,000kmの静止衛星に比べて地表に近いため、レイテンシ(遅延)がほとんど無い。海外と映像でやりとりする場合でも音ズレも無く、オンラインゲームも楽しめ、ダウンロード速度は、100~200Mbps程度が可能だという。反面、デメリットとしては、衛星1機でカバーできるのはせいぜい数100kmくらいしかなく、上空に静止もできないため、大量の衛星を打ち上げざるを得ず膨大な費用がかかり、太陽からの磁気嵐等で地球に落下しやすいため、常に衛星を補充する必要がある。

多数の衛星が地球を周回することで天文観測に支障が出る恐れがあることも問題となっている。
現在、地上に置かれた専用のパラボラアンテナと送受信機で通信することになる。この機材のおかげでウクライナが情報をいち早く入手でき、各部隊との情報共有で戦況を有利に進めているのは周知の事実であろう。
この衛星を使えば世界人口のほとんどをカバーすることが技術的に可能となるが、実際にサービスが提供されるのはスペースX社がサービス提供のライセンスを取得した国で衛星通信に対応した機材を持っている人に限られる。

アメリカではTモバイルUSと提携し、2023年末までに携帯電話の電波が届かない地域に対して、音声通話やデータ通信サービスなどが使用できるようにすることを発表しており、日本では、KDDIがスペースX社と業務提携し、2022年に1,200箇所の基地局を介して地方の顧客向けに、より高速な通信の提供を目指すことを発表。
更に楽天モバイル(以下、楽天)などが協業する米国の新興衛星通信事業者AST&Science(以下、AST)と取り組みを進め、国際ローミングを活用し、参加の予定。




スターリンク衛星は2022年8月28日(日本時間)に、「ファルコン9」ロケットの打ち上げを実施・成功し、今回の成功で軌道上のスターリンク衛星の総数は「3162機(プロトタイプを含む)」となった。

iPhone14が衛星通信機能テスト完了?

AppleアナリストのMing-Chi Kuo氏が、iPhone14に搭載予定とされている衛星通信機能のハードウェア関連のテストが量産を前に完了したと伝えている。
An iPhone 14 satellite link could depend on Apple cutting a deal with wireless carriers

An iPhone 14 satellite link could depend on Apple cutting a deal with wireless carriers
But carriers have their own satellite ambitions.




iPhoneの衛星通信機能は、主に緊急時のメール・電話サービスの提供に使われる予定だが、ハードウェアとして衛星通信が可能であっても、実際に衛星通信を行うサービスがiPhone14で提供されるかどうかは、Appleと通信事業者との話し合いにかかっているという。

iPhoneに限らず、スマートフォンでの衛星通信はすでに実用化段階に進んでいるといわれており、台湾の半導体メーカーであるMediaTekは「スマートフォンによる低軌道衛星を介した5G接続実験に成功した」と報告している。

今後、既存端末も対応可能になる?

米国(アメリカ)のT-Mobile USはSpaceXとして事業を行う米国のSpace Exploration Technologiesと通信衛星を活用した携帯通信網の構築で提携すると発表した。現在は携帯通信網の構築を、米国本土、ハワイ州、アラスカ州の一部、米自治領プエルトリコ、米国の領海としている。



通信はミッドバンドの1.9GHz帯(PCSバンドのGブロック)を使用する。
周波数範囲は上りが1910~1915MHz、下りが1990~1995MHz。
バンド番号は25の範囲となるため、無線方式が4G(第4世代移動通信システム)のLTE方式の場合はBand 25、5G(第5世代移動通信システム)のNR方式の場合はFR1のn25として運用することになっている。

この周波数帯は既存の多くのスマートフォンが対応しているため、T-Mobile USの通信圏内では新たなスマートフォンを購入する必要はないと説明されているという。
Starlink(スターリンク)サービスが無料のオプションになるのか有料なのかなどについては発表されていない。詳細は今後発表される予定となっている。
参考
wiki スターリンク
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AF
イーロン・マスクの「Starlink」もスマホ直接通信へ、iPhone 14も衛星対応?
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01273/00032/
スマホがスターリンク衛星と直接通信、全米をカバー。T-Mobile×Starlink
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1435332.html
ウクライナでも活躍する「スターリンク」は何がスゴイ?
https://www.watch.impress.co.jp/docs/topic/1409405.html
SpaceXとT-Mobileが携帯電話とStarlinkの衛星を直接通信可能にする計画を発表
https://gigazine.net/news/20220826-starlink-t-mobile-satelites-network/
SpaceXの衛星携帯通信サービス「Starlink」、8月に全世界で利用可能に–マスク氏
https://japan.cnet.com/article/35173129/
iPhone 14が衛星通信に対応する可能性、緊急時のメール・電話サービスに応用か
https://gigazine.net/news/20220830-iphone-14-support-satelite-communication/
「iPhone 14」、衛星通信機能のテストが完了か
https://japan.cnet.com/article/35192495/
T-MobileとSpaceXが提携、「空が見えれば」へき地でも全米で携帯通信を可能に
https://japan.zdnet.com/article/35192454/
Starlinkの衛星でT-Mobileのスマホが全米どこでも利用可能に SpaceXとの提携で
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2208/26/news094.html
SpaceXとT-Mobileの提携、そしてiPhone14が搭載と噂の衛星通信機能
https://iphone-mania.jp/news-480632/
T-Mobile USとSpaceXが衛星活用で提携、PCS-Gの1.9GHz帯で既存端末も対応
http://blogofmobile.com/article/152065
スペースX、スターリンク衛星を新たに54機投入。総数は3162機に(2022年8月28日)
https://sorae.info/ssn/20220829-starlink4-23.html

コメント

タイトルとURLをコピーしました