新型コロナの神経に与える影響を東京薬科大などが解析 ゲノム編集技術を応用して解明する

テクノロジー

これまではっきり分かっていなかった新型コロナが神経に与える影響を、東京薬科大学の山内淳司教授らの研究チームがゲノム編集技術を使い、その機構を解明することができた。これにより重篤な神経症状の改善に関わる研究が促進させると期待されている。

全国でも過去最多の15万2536人が新型コロナに

7月20日、新型コロナ感染者確認は東京都内で2万401人。2万人を超えたのは今年2月以来の増加であり、全国でも過去最多の15万2536人を記録している。さらに全国では今日1日で53人の死亡の発表があった。



今後お盆などで人が集まることが予想されており、専門家によると「1週間後には経験のない爆発的な感染」が考えられ警戒を強めている。

ゲノム編集技術で神経症状になる要因を解明

今回の研究は、国立成育医療研究センターと東京都医学総合研究所との共同研究で、成果は生化学系の科学誌に掲載された。この研究に関わった東京薬科大学の山内淳司教授の研究チームは、新型コロナウイルス感染症が神経に与える機構をゲノム(全遺伝情報)編集技術「クリスパー・キャス9(ナイン)」を応用して解析した。

これにより新型コロナが体内に侵入する時に使う受容体の一つ「ACE2」がグリア細胞内で非常に弱くなる(減弱)と、グリア細胞の分化に異常が促進され、細胞内の信号伝達に影響が発生。これにより脳を中心とした中枢神経の異常を起こし、脳内炎症を誘導することが分かってきたという。

永続的な機能障害を負うこともある新型コロナ

新型コロナからの回復は、以前の健康状態への復帰を保証するものではなく、特に脳や心臓、腎臓などの多系統に損傷を負った人は、それが永続的な機能障害となり慢性疾患へと移行することがあることが知られている。
【東京都医学総合研究所】神経系におけるLong COVID-19
https://www.igakuken.or.jp/r-info/covid-19-info66.html



神経系では回復しても筋肉痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群になる可能性が知られており、患者や生存者は神経学的症状にも苦しめられ、今後、神経変性疾患の発症が増加することが懸念されている。
そのため病理学的メカニズムに関する研究と理解が不可欠となっている。
今後、脳内で感染する「グリア細胞」を研究し、神経症状の改善に関わる研究を促進させることで、患者や生存者の症状緩和につながることが期待される。

参考
【NHK】特設サイト 新型コロナウイルス
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/
ゲノム編集技術で解明、新型コロナによる神経病態の機構
https://news.yahoo.co.jp/articles/a0dda53d535662a5f05d12e0e8af70d0246eee18

コメント

タイトルとURLをコピーしました