人の遺伝子を猿に移植。映画「猿の惑星」が現実に!?

科学



2020.12.04

ヒトとチンパンジーのDNAは98.5%同じであると言われてきた。

これまでサルにヒトの遺伝子を組み込む実験が中国と今回のドイツ・日本の国際共同研究で行われている。中国ではMCPH1遺伝子、国際共同研究ではARHGAP11B遺伝子を実験に使用し、サルの脳を人間特有の脳に変化させるという成果をあげた。


ヒトの遺伝子をサルに組み込む

CNNの報道によると、2019年4月13日に発表した中国の研究グループが人間の脳の発達に関わる遺伝子をサルに移植することで認知機能を向上させたとの論文を発表して論争を巻き起こしました。

この実験では、アカゲザルに対してに使われたのは脳の発達や進化に重要とされる人間のMCPH1遺伝子(マイクロセファリン遺伝子)を移植し成功。サルの行動や生理機能を分析した結果、対照群と比べて短期記憶や反応時間の面で優れ、発達にはより長い時間がかかった点も人間に近かったことが分かった。

今年、2020年6月19日に研究を発表したのは、ドイツのマックスプランク分子細胞生物学遺伝研究所と、日本の実験動物中央研究所および慶應大学のメンバーで、アメリカの学術誌『Science』に論文が掲載された。

実験では、コモンマーモセットというサルの一種の胎児に、「ARHGAP11B」という人間特有の遺伝子を注入し経過観察を行うと、遺伝子を移植した胎児の脳が、妊娠100日目頃に最初の約2倍の大きさになり、より高度な大脳新皮質を発達させ、人間の脳に類似したものになったことを確認したという。

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ヒトの知性の源「大脳新皮質」

この結果から、「ARHGAP11B」が人間の大脳新皮質の拡大の原因である可能性が浮上している。

大脳新皮質の役割は、ものを知覚したり、運動を制御したり、未来の予想、計算、推理など、まさにヒトの知性を司る器官。

大脳旧皮質は、ヒトの喜怒哀楽や食欲、睡眠欲など、体の基本的な情報を司る器官。



これによりヒトの優れた認知能力は、チンパンジーの約3倍もある大脳新皮質によって支えられ、進化の過程で頭蓋骨に収まるよう「しわ」のような形で折り畳まれていることが立証された。新皮質の増大は約100万年前に変異で表れた「ARHGAP11B」により獲得されたものであると考えられている。今回の研究に使われたサルの胎児は、倫理的観点や「予測できない結果」になることを考慮し、コモンマーモセットの胎児を中絶することを発表している。

科学者の間では、サルや類人猿への遺伝子移植の倫理性に関して長年議論がなされている。この度の実験は、高度な知能を身につけたサルや類人猿が地球を支配する映画「猿の惑星:創世記」を彷彿とさせる。

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ヒトもそうであったように、生物は自らの生存の方法を常に模索している。このような実験が繰り返され、高度な知能を持ったサルが集団で人に復讐することが無いことを願っている。

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