「脱炭素」を牽引する太陽光発電、風力発電に続く自然エネルギー!

環境



東京都の小池百合子知事は、乗用車は2030年までに、二輪車は35年までにゼロにすることを目指すと表明し、EVやハイブリッド車(HV)などへの切り替えを促すため、メーカーとも連携し具体的な取り組みを検討するいう。
政府は2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標を掲げ、30年代半ばにEVなどに限る新たな目標を検討しており、車の温室効果ガスの排出に歯止めをかけたいと考えている。
しかしEVに変えるだけでは問題解決にならない。なぜなら日本は化石燃料に頼って発電しているため。


日本の電源構成

2019年度における日本の電源構成は36%が天然ガスなどのLNG、27.8%が石炭、2.6%が石油となっており、全体の66.4%が化石燃料で発電されている。それに対し、太陽光が7.4%、水力が7.4%、バイオマスが2.7%、風力が0.8%、地熱が0.2%で、自然エネルギ-全体では18.5%と、化石燃料を使った発電量の1/3にも達していない。
石炭は発電コストが安く出来るため昔から使われてきたが、温室効果ガス(二酸化炭素)の問題で欧米では発電に使用されなくなっている。LNG(天然ガス)も同様で、発電コストは比較的安いが、温室効果ガスを排出してしまう。


このことが2019年12月2日~13日に開催されたCOP25(国連気候変動枠組条約第25回締約国会議)で日本が2度も化石賞(Fossil Award)という不名誉な賞を取る原因になっている。地球温暖化対策に後ろ向きな国家に対して与えられるのが化石賞。3度目は取りたくないもの。では自然エネルギーの問題点は何でしょう。

太陽光や風力などの自然エネルギーを使った発電の大きな問題点は発電量が一定しないこと。太陽光の発電量は季節や気象に左右されやすく、設置するためには広大な土地が必要となる。風力発電は、風の通り道に設置する必要があり、コストに見合うだけの大きな風車を設置できる場所は、洋上であっても航路の関係で限られ、さらに風車が回るときの低周波振動が問題となっている。



火山国日本のメリットとデメリット

地球内部に蓄えられた熱エネルギーを利用する地熱発電は、天然の地熱貯留層を掘りあて、高温・高圧の水蒸気・熱水を取り出して発電を行うもの。日本は地下の様々なところに地熱貯留層があるといわれているが、日本の地熱発電を行うときに問題となるのが、火山が国立公園の中にあるところが多く、自由に開発ができず、許可の申請や設置・開発を行うのに大変な時間と労力がかかる。

しかし世界を俯瞰してみると状況は変わり、特別な許可を得て開発が進んでいる地域が、アメリカにある。2018年10月9日にアメリカエネルギー省(DOE)は、地熱エネルギー開発の促進のため、研究開発プロジェクト7件に約1140万ドルを助成すると発表している。この資金で技術革新を進め、開発可能な地熱発電量は100ギガワットを目指している。アメリカはシェールオイル採掘技術を使い、熱源に高圧の水を注入し、高温・高圧の蒸気を取り出す高温岩体地熱発電という新しい発電方法を使い、安定的な電力を確保する取り組みが進んでいるが、デメリットとして高圧の水を岩盤に注入するため地震が起こりやすくなるとも伝えられている。
この方法は秋田県湯沢市でも試されている実績があり、その内容は国立研究開発法人科学技術振興機構低炭素社会戦略センターのレポートが出されているのでそれを参照してほしい。
https://www.jst.go.jp/lcs/pdf/fy2016-pp-04.pdf

「脱炭素」が叫ばれているいま、省令・政令を改正し地域限定の国立公園内開発許可を認可、また国が開発支援を行うだけでなく、海外のファンドからの資金調達で開発促進をするなど、「脱炭素」に向けて必要な政策を早急に立案して欲しいと願っている。


ファンドが世界の地熱発電プロジェクト開発に投資

2019年3月04日の記事では、ジェフ・ベゾス氏、ビル・ゲイツ氏、ジャック・マー氏らの億万長者が出資した投資会社で、社会を脱炭素化するテクノロジーを開発する企業に投資していることが報道されており、この投資会社は地熱プロジェクト開発会社のBaseload Capitalに1250万ドル(約14億円)を投資したともある。
この投資会社が投資したのはスウェーデンの Climeonが開発した技術を利用した地熱発電所を開発するための資金を提供しており、同社のモジュールはおよそ2立方メートルの機械で、150キロワットの電力を供給する能力を持つ。これはヨーロッパの約250世帯を賄える性能を発揮する。既存技術を利用して1キロワット時5~7セントのコストで生成する地熱発電所の開発促進を支援しており、日本で開発中のプロジェクトに向けに特別目的事業体を結成したとも伝えられている。

資源の無い日本だが、熱水に関しては他国より条件の良い場所が多くあると考えられる。高温の熱水を取り出すためには地下深く掘り下げるための掘削費用が高くなり、初期費用が高くつくため敬遠されて来た。しかし、季節の変動が少なく安定的に電力が取り出せるメリットは大きく、温室効果ガスのない電気を大規模かつ経済的、効率的に生み出す潜在能力をもっていると思われる。EVを走られる電気もクリーンエネルギーに転換して、本当の「脱炭素」を実現して欲しいと願っている。

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環境エネルギー政策研究所
https://www.isep.or.jp/archives/library/12541

その他の資料

https://jp.techcrunch.com/2019/03/04/2019-03-03-bill-gates-and-jeff-bezos-backed-fund-invests-in-a-global-geothermal-energy-project-developer/
https://www.tainavi-pp.com/investment/other/11/
https://tenbou.nies.go.jp/news/fnews/detail.php?i=25491
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcorr1991/50/7/50_7_313/_pdf
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%AB%98%E6%B8%A9%E5%B2%A9%E4%BD%93%E5%9C%B0%E7%86%B1%E7%99%BA%E9%9B%BB

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