ヒトが考えていることを覗くことができるかもしれない、話すことに障害があり、考えていることを表現しにくい人々にとって、夢の技術が開発された。頭の中で考えるだけで同じ意味の画像を表示できるこの技術を大阪大学では「脳情報解読技術」と呼んでいる。
【大阪大学研究専用ポータルサイト】脳で想像したものと「同じ意味」の画像を表示
https://resou.osaka-u.ac.jp/ja/research/2022/20220318_2
8月1日、ヒトが想像した画像と同じ意味の画像を画面に表示することができる技術を大阪大学大学院医学系研究科の福間良平特任助教と大阪大学高等共創研究院の栁澤琢史教授らの研究グループが開発した。
この「脳情報解読技術」は被験者が見た画像を頭蓋内脳波から推定する技術で、頭蓋内脳波とは、脳の表面もしくは深部に設置した電極(頭蓋内電極)で計測した脳波のことで、これを使って情報を取り出す。
この研究成果は、英国科学誌「Communications Biology」に、2022年3月18日に公開された。
将来、ヒトが想像したことを映像として伝えることができるコミュニケーションツールとして活用できる可能性を秘めており、話すことや表現することが難しい人々にとっては思いを伝え合うことに活用できる技術である。
研究は次の方法で行われた。
②風景、動物、文字、ヒトといったさまざまな60分の動画を用いて、頭蓋内脳波を解析。
③頭蓋内脳波から推定された画像を画面に提示。
④被験者には、ランダムに3つの風景・文字・人の顔という指示を与え、それぞれが意味する画像を想像して、同じ意味の画像を画面に提示するように指示。
この実験で分かったことは、
②指示された意味の画像が偶然で起こる場合よりも高い確率で表示された。
さらに追加試験として、被験者がある意味の画像を見ながら別の意味の画像を想像した時にどのように脳の活動が変化するかも確かめた。被験者が画像を見ている時と他の画像を想像しながら見ている時の頭蓋内脳波を13人の被験者から計測。
この追加試験で、視覚野の脳活動が想像した意味の画像を実際に見た場合の脳活動に近づくことを発見。
これは被験者が画像を想像することで、視覚野の脳活動を変化させ、画面に表示する画像を変えられることを意味していると考えられる。
この発見は、ヒトが頭の中で想像した場面を目の前で起こっているように感じたり見えたりしているように感じるメカニズムの解明に繋がる研究となる。
脳で想像したものと「同じ意味」の画像を表示できることは、脳内イメージ表示の第一歩であろう。脳内における電気信号の解析をAI技術と融合させることができれば、イメージの映像化を支援させることができるかも知れない。
現在の技術では脳内のイメージを直接表示できないが、将来的に表示できるようになれば、言葉で伝えることの何百倍もの情報を伝えられる。正しく使えばこれほど素晴らしい技術はほかにはないと思われる。
参考
大阪大学がヒトが想像した画像を画面に表示する脳情報解読技術の開発に成功
https://news.yahoo.co.jp/articles/5d60b0d511e85190898f8166d536be62bf869835
大阪大学がヒトが想像した画像を画面に表示する脳情報解読技術の開発に成功
https://news.mynavi.jp/techplus/article/kinmirai-technology-kenbunroku-175/
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