QRコードは1994年(平成6年)に日本で生まれたマトリックス型二次元コード。今では決済システムには欠かせない技術となっているが、5月25日には長方形型のQRコード「rMQRコード」に進化し、これまで付けられなかった狭い範囲に添付できるようになった。さらに交通系ICカードの代わりにQRコードを基本とした新システムを導入する会社も現れている。
PayPayやLINEPayなどの決済システムをはじめ、日常インフラとして当たり前になっています。
QRコードが日本のメーカーが発明したことをご存じでしょうか。
QRコードは1994年(平成6年)に自動車部品メーカーであるデンソー(愛知県)の開発部門(現在は分社化してデンソーウェーブ)が発明したマトリックス型二次元コードで、もともとは自動車部品工場や配送センター等で部品の管理や配送利用を念頭に開発されたものだった。しかし、誤り検出訂正の能力が高く、また、オープンソースとされたことから、トヨタ自動車のサプライチェーンの範囲を超えて活用が広まり、現在では日本に限らず世界に広く普及している。
民間での活用が広まった要因としてスマホがQRコードに対応したことが大きい。これにより「QR決済」が国によっては主要な電子決済の地位を占めるようになり、発明から四半世紀経ってフィンテックを支える技術の1つとなっている。
日本では、テレビが放送画面上にQRコードを提示し、自社のホームページや他のメディアにインターネットを通して誘導している。テレビといった旧来のメディアとインターネットとの融合に用いられることが多い。
株式会社インフキュリオンは、全国の16~69歳男女20,000人を対象に「決済動向2022年4月調査」を実施した。調査によると、QRコード決済の利用率が全体で57%となり、FeliCa型電子マネー(利用率56%)を初めて上回った。また、2021年12月から利用率を調査しているBNPL(後払いサービス)は11%の利用率と、すでにブランドプリペイド(利用率5%)をしのぐ勢いとなっている。
またカテゴリー別に利用者の男女構成比を見ると、ブランドデビット(国際ブランドのVisa、JCB、Mastercardがついたデビットカード)やブランドプリペイドの利用者は男性の比率が高く、一方でBNPLL(後払いサービス)の利用者は60%が女性であった。
またクレジットカードやFeliCa型電子マネーは60~69歳が最も利用しており、ブランドデビットやBNPLは若年層の利用率が高い傾向と、年代で分かれた。また、QRコード決済アプリは若年層~60歳台まで、幅広い年代に利用されている。
さらに2021年との比較では、QRコード決済が60%の人が増加し、現金の利用は41%の人が減少した。中でも現金は、13%の人が「かなり減った」と回答。
現在ではキャッシュレス派が61%と多数派となっており、2019年の調査と比較すると現金派は大幅に減少した。特に首都圏を含む東日本地域での減少幅が大きく、どちらかといえば西日本地域に現金派が多い傾向となっている。
デンソーウェーブ株式会社は5月25日、長方形型のQRコード「rMQRコード」を発表した。「rMQRコード」は、通常のQRコードと同様の情報を格納でき、読み取り速度も同一なのが特徴。
これまでQRコードの活用にはある程度の大きさが部品やパッケージに必要だった。これまでのQR
コードの最大格納可能容量は、
英数字 4296文字
バイナリ2953文字
漢字 1817文字
と大きかったが、この最大容量を使うことはほとんどない。
小さな電子部品をはじめとする超小型部品の個体管理のニーズが高まっていたが直接の印字では大きさが足らず、伝票や帳票での情報管理が進む中、余白のスペースが限られるなど、コードを印字できないといった課題があがっていた。
その解決策として通常のQRコードより小さい「マイクロQRコード」が発表されていたが、書き込める最大格納可能容量は、
英数字 21文字
バイナリ 15文字
漢字 9文字
と小さく活用場面が限られていた。
そこで考えられたのが従来の1/3の高さで細長いQRコード。この大きさであれば小さなスペースに印字可となる。
新しいQRコード「rMQRコード」の最大格納可能容量は、
英数字 219文字
バイナリ 150文字
漢字 92文字
と少ないように思えるが、実用上問題ない。
今後は試験管のような細長い容器や医療機器、医薬品などの管理ラベル、機械などの製造ラベルや値札などの活用が想定され、高さ寸法が制限された小さなスペースでも情報管理がしやすく、デザイン性も向上するという。
rMQRコードはQRコードやマイクロQRコードと同様に国際規格(ISO)【規格番号:ISO/IEC 23941:2022】を取得している。デンソーウェーブは5月から順次rMQRコード対応製品をリリースするという。
2022年3月9日、広島電鉄、NEC、レシップの3社は、スマートフォンに表示させたQRコードや専用の交通系ICカードを認証媒体とする新たな乗車券システムの開発に着手すると発表した。
新たな乗車券システムは、認証媒体となるQRコードやICカードの固有のID番号と紐づいた利用者の情報をクラウドサーバ側で管理する「ABT(Account Based Ticketing)方式」で構築されるため、ICカードやQRコードにはID番号しか情報がない。チャージ残高や定期券などの利用者情報はクラウドサーバ側に保存されるため、残高照会や個人情報の閲覧が自分のパソコンやスマホでできる。さらにチャージや定期券の購入もスマホやパソコンから可能になるという。
QRコードやICカードに加え、多様な認証媒体への対応も可能で、連携する他の交通手段(電車・路面電車・バスなど)や街中・旅先などでの食事やホテルなど、さまざまなサービスとの連携がしやすいメリットがある。
だが課題もある。新システムの課題のひとつが、QRコードによる認証のスピードで、大量の乗客の決済をさばける処理速度が必要で通信システムや読み取り機器のコストがかかる。今後スマホに表示するQRコードを読み取るシステムがどこまで速さを担保できるかが課題となっているという。
参考
wiki QRコード
https://ja.wikipedia.org/wiki/QR%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89
高さ1/3の細長いQRコード、小さなスペースに印字可。デンソーウェーブ
https://news.yahoo.co.jp/articles/0d7a9d52bf5fe6ec7a59f38822d9023f6f3ee5c6
細長いQRコード「rMQRコード」誕生。省スペースに印字可能
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1411866.html
細長いQRコード登場 読み取り速度と情報量はそのまま“狭い場所”に対応
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2205/25/news107.html
QR決済の利用率がFeliCaを初めて上回る。キャッシュレス派61%
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1412504.html
広島電鉄など、スマホのQRコードで認証する新乗車券システム開発へ
https://news.mynavi.jp/article/20220309-2288745/
「交通系ICカードやめます」 新システム採用の広島電鉄 加盟事業者は分裂
https://trafficnews.jp/post/116484
広島電鉄「QRコード」活用の乗車システム導入へ 3年後に終了「PASPY」の代替に
https://news.railway-pressnet.com/archives/37090
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