世界中の人々に福音となるか 理研が発表した日本人の新型コロナ患者の重症者や死亡者が非常に少ない理由「ファクターX」

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日本人の約6~7割が持っている、風邪の原因となる季節性コロナウイルスに対する免疫細胞の白血球の型「HLA―A24」が、新型コロナウイルスの感染細胞にも攻撃する実験結果を、理化学研究所の藤井真一郎氏が率いるチームが発表した。この内容は英科学誌コミュニケーションズ・バイオロジーに論文として掲載された。

白血球の型「HLA―A24」とは

人間の体の防衛システムを簡単に説明すると次のようなものになる。

①ウイルスが体内に侵入し細胞内で増殖する。

②ウイルスが増殖したことに反応し、抗体や様々な免疫反応が起こる。

③「キラーT細胞」がウイルスのたんぱく質の断片「ペプチド」を認識して活性化する。

④免疫細胞の一つである「キラーT細胞」を中心に、ウイルスに感染した細胞を探し出し殺す。
【「ペプチド」には様々な種類があり、白血球の型によってキラーT細胞が反応するペプチドが異なる】




研究チームは日本人の約6~7割が持つ「HLA―A24」という白血球の型に注目。このタイプの人の血液の細胞を取り出し、ウイルスのスパイクたんぱく質の一部であるペプチド「QYI」を投与すると、キラーT細胞が活発になり増殖することをみつけた。ちなみに「HLA―A24」の白血球の型を欧米人は1~2割程度しか持たないという。
「QYI」で働きが活発になった「キラーT細胞」に、季節性コロナウイルスと新型コロナウイルスの「ペプチド」を加えると、どちらのウイルスに対しても免疫機能が同じように働いたという。
このため「HLA-A24」を持っている人は、新型コロナウイルスの抗体を持っていなくても、従来のコロナウイルスの記憶を持つ「キラーT細胞」が速やかに活性化して新型コロナウイルスを攻撃し、感染や重症化が防げたのではないかと見ている。

その他の「ファクターX」
・クラスター対策や保健所職員等による積極的なクラスター対策
・マラソンなど大規模イベント休止
・国民の前向きな危機感共有と、自主的感染予防
・こまめな手指消毒とマスク着用
・高い衛生意識
・ハグや握手をせず、大声での会話が少ない生活
・BCG接種など、戦後以降の公衆衛生政策
・季節性コロナウイルスなどの交差免疫獲得  ほか



おわりに

現在も日本人の重症者・志望者が少ない要因を探す研究が進んでおり、理化学研究所の藤井真一郎チームリーダーは「日本の感染が少ない『ファクターX』の一部であるのは間違いないと考えている」「今後、新たな変異株にも有効なワクチン開発などにつながる可能性がある」と話し、詳細に調査する予定であると語った。
今後、詳細なデータがそろったときに真の「ファクターX」が解明され、世界中のヒトに恩恵があることを願っている。

参考
【TBS】「ファクターX」判明か 新型コロナが欧米より少ないわけ 理研
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye4423050.htm
日本人6割持つ白血球の型、「ファクターX」か 対コロナ
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC103YT0Q1A211C2000000/
従来型ウイルスから日本を守ったファクターX
https://www.covid19-yamanaka.com/cont1/74.html
【独自解説】理研が発表!日本人のコロナ死者数が少ない理由「ファクターX」のナゾ解明か!?
https://news.yahoo.co.jp/articles/4393ca186d04d16c3cb5048b11c07e07658e1ffa
「ファクターX」は日本人6割にある白血球の型か…防御力の解明につながる可能性も
https://www.yomiuri.co.jp/medical/20211209-OYT1T50227/

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