メジャー入団時に鈴木誠也が高い評価と前例のない入団後すぐに全体練習に参加できた理由

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広島からポスティングシステムでメジャーに移籍した鈴木誠也(27)がカブスと5年総額8500万ドル(約100億4900万円)で契約した。これは日本野手の渡米時では最高額で、これまでの最高額は07年オフに中日・福留孝介とカブスが結んだ4年総額4800万ドル(当時のレートで約54億2000万円)であり、これを大きく上回ったことになる。

またカブス入団会見後、すぐに全体練習に参加するという前例のない形で参加できた。なぜ彼はここまで高い評価を得られたのだろうか。その理由を探ってみたい。

カブスの熱意が決め手

一時期、鈴木誠也の所属球団がパドレスに決まったとのフェイクニュースが報道され、それを本人が怒りの表情をフェイスブックに上げたニュースが話題となった。

【公式】鈴木誠也(Seiya Suzuki)#27 (@suzuki_seiya_sb) on X
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本人も会見の中でカブスの熱意と高い評価をしてくれたことが入団に至った理由であることを明かしている。


その金額は5年総額8500万ドル(約100億4900万円)で基本合意し契約を行った。カブスは鈴木誠也の獲得に、球団を上げて交渉にあたった。14日(同15日)にはキャンプ初日の練習を終えたあと、その足でアリゾナからカブスのホイヤーオーナーとロス監督らが航空機で鈴木が滞在するロサンゼルスへ移動。選手の入団交渉にオーナーが出席するのはメジャーでも珍しく、球団側の熱意と本気度が破格の条件を提示した。数時間の話し合い、熱心に獲得の意思を伝えたという。鈴木の代理人を務めるジョエル・ウルフ氏(51)らとも条件面、環境面などを精査し、最終的にカブス移籍を決断した。

メジャー球団が注目する総合力

鈴木誠也は27歳という若さで侍ジャパンや広島カープの4番を務め、首位打者も2度獲得する鈴木の存在は早くからメジャーでも知れ渡っていた。
現在のスポーツ界ではコンピュータを使った指標の総合力で評価されることが多い。若手選手でも指標に合致する有望株とは巨額の長期契約を結び、30歳を過ぎた中堅選手でも総合評価が下がれば惜し気なく放出する。
大リーグが彼を高く評価するのには3つの理由がある。それは年齢と、打撃、パワー、走力、守備、肩といった「5ツールプレーヤー」であることと、OPSの高さだ。
大リーグでは年齢が大きな評価指標といわれているが、一つ目は鈴木が27歳という若い年齢であり、今後の活躍が見込めること。



二つ目は打撃、パワー、走力、守備、肩の「5ツール」を兼ね備える選手はメジャーでも数少ないため、この「5ツールプレーヤー」は高く評価される。鈴木はこの「5ツール」を兼ね備える選手と大リーグで評価されていることから10球団から入団交渉の申し込みがあったという。この中でもカブス、パドレス、らナリーグの球団が鈴木獲得に熱心だった。
ナリーグは今季からDH制を採用するが、これまでも打って守れる選手を必要としてきたという。
三つ目はOPSという指標で、出塁率と長打率を足し合わせたもの。この数値が高い選手は得点能力の高い好打者と評価される。

この数値の平均は「.700」、一流選手が「.900」とされる中、鈴木は昨季「1.072」をたたき出している。日米の違いはあるにせよ、昨季メジャーで1点以上を叩き出した選手はプライス・ハーパー(フィリーズ)とゲレーロJr.(ブルージェイズ)とメジャーを代表する2人だけであり、この数値だけでも大リーグが期待する価値があるとされている。

前例のない入団すぐの全体練習合流

本来、就労ビザ取得は正式契約してから最低でも2週間を要するため、鈴木が練習に参加できるのは4月1日前後となる予定であり、その間はキャンプ施設での練習も、オープン戦出場も許されないのが慣例だった。代理人のワッサーマングループと、マネジメント会社のスポーツバックスが知恵を絞り、大リーグ機構、選手会、球団が特別に了承したことで、全体練習に参加できており、鈴木の練習参加は大リーグ全体でも特別待遇といってもよい。



特に驚くべきはビザがないままキャンプ、4月7日(日本時間8日)の開幕戦に参加可能であること。白人でもない人種がこのような特別待遇を得ることはこれまでであれば許されなかったであろう。イチローをはじめ大谷翔平や前田健太などの歴代の日本人選手が活躍していた功績も大きいと考えられるとともに、鈴木に対する期待がどれほど大きいかがうかがえる。

カブスとの正式契約内容

カブスと正式に契約した鈴木誠也外野手(27)の契約詳細を、米メディアが18日伝えた。

①契約総額 8500万ドル(約97億8000万円)
②広島へのポスティング料 1462万5000ドル(約16億8000万円)
③契約ボーナス 500万ドル(約5億7500万円)
④背番号「27」



⑤年俸
2022年 700万ドル(約8億500万円)
2023年 1700万ドル(約19億6000万円)
2024年 2000万ドル(約23億円)
2025年 1800万ドル(約20億7000万円)
2026年 1800万ドル(同)
※付帯条項 全球団へのトレード拒否権
おわりに

今日までにチームに合流し、フリー打撃では26スイングで9本の柵越えを記録。左翼へのさく越えは推定130メートル弾もあったという。またチームも鈴木の人間性を高く評価しており、ロス監督は「性格に感心している。私の目を引いたのは、自分の体がどういう状態かをわかっているということ。準備の仕方もそう。野球をするのが大好きで、ひたすら練習をする野球小僧のようなものだと思う。直接本人と話をしてみても、野球は彼の人生における優先事項だ。メジャーリーグでプレーすることを楽しみにしていると思う」と語っている。
今季の大リーグでの活躍を、他の日本人選手とともに期待をもって見守っていきたい。

参考
鈴木誠也がカブスと基本合意 5年総額約100億円 メジャー入団時の契約では日本野手史上最高額
https://www.sanspo.com/article/20220316-7AUAJNJIS5OA5BTUQUEWA4ITJ4/
急転カブス入団、鈴木誠也の評価はなぜ高い?【メジャーリーグは今】
https://news.yahoo.co.jp/articles/f23ace7a18ecec354abb49cf2dba967516261374
カブス・鈴木誠也“食事代”放棄してキャンプ、オープン戦参加OKに ビザなしも「就労」に該当せず
https://news.yahoo.co.jp/articles/7f2fe4293d30b83dfb4ebf18ed9cb77fd0e330b3
鈴木誠也の契約詳細 広島へのポスティング料16・8億円 付帯条項に全球団へのトレード拒否権
https://www.nikkansports.com/baseball/mlb/news/202203190000161.html
鈴木誠也、合流初日に130m弾 カブス指揮官は人間性称賛「ひたすら練習する野球小僧」
https://full-count.jp/2022/03/19/post1194602/

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