「オミクロン株」のピークを越えたのか 「スーパースプレッダー」を抑えることで次の変異株を遅らせる

健康

2月15日の東京都内の感染者数は1万5525人で、7日連続で前の週の同じ曜日を下回り、1週間前の火曜日と比べておよそ1600人減少した。しかし重症患者がじわりじわりと増えており、一日の発表としてはことし最多となる16人が死亡しているという。全国でもこの傾向は同じで、患者数は高止まりをしており、先は見通せない状況だ。

次の亜種はいつ来るのか

東京でも最初に感染が広がったオミクロン株である「BA.1」から、その亜種である「BA.2」へと急速に置き換わりが進んでおり、アメリカではほぼ100%「BA.2」に置き換わったという。
亜種BA.2に関する知見では、すでに極めて感染力が高い最初のオミクロン株より感染力が強まっていることが示唆される一方で、「BA.1」と比較してより重い症状を引き起こす力や、ワクチンによる免疫をすり抜ける力がさらに上がっていることを示す明確な兆候は、見られないという。
さらに南アフリカの研究グループは、「BA.2」が発見された初期段階の調査で、すでに「BA.3」も発見しているという。



『ウイルス学の観点からは、極めて興味深い事態だ』と、イェール大学公衆衛生大学院准教授でウイルス疫学を専門とするネイサン・グルーバーはかたり、『「BA.1」と「BA.2」の間の変異の差は、アルファ株とデルタ株の間の差の数とほぼ同じで、「BA.1」と「BA.2」はかなり異なるのです。このためウイルス学者や進化生物学者は、これはどこから来たのだろうか、どうしてこれほどの差が生じているのだろうかと、疑問に思っています』と話している。

軽症こそウイルスが変異して進化している場所

ロックフェラー財団のチームは、CDCが優先的な調査対象から外した軽症にこそ、極めて重要な情報が隠されている可能性があると考えており、変異株発生の温床だと指摘している。
ウイルスは人間や動物の細胞の中でしか増殖できない。宿主である人間や動物が死んでしまうとウイルス自体も死んでしまう。自らの仲間を増やすためには、軽症患者が大量に仲間を周囲に伝染させる必要があり、「デルタ株」に比べて「オミクロン株」、「オミクロン株のBA.1」より「オミクロン株のBA.2」の方が軽症で大量の患者が出ていることから、ウイルスが浅く広く広がりやすく変異していることが見えてくる。次の亜種や変異株の出現は、軽症者や基礎疾患を持つ人々の罹患率が大きく関わっており、どこまで体長を悪化させない努力ができるかで、流行の波の大きさが変わる。

基礎疾患を持つ人は要注意

糖尿病や脳梗塞などの基礎疾患を持つ人が新型コロナウイルスに感染した場合、それ以外の感染者に比べ、体内のウイルス量が非常に多かったことが東京医科歯科大の分析で分かった。ウイルス量は他人への感染力の強さに関係するとされ、1人の基礎疾患を持つ人が10人以上の感染源となる「スーパースプレッダー」になる可能性があるという。


免疫系の異常が原因

同大の藤原武男教授(公衆衛生学)の研究グループが令和2年3月~3年6月、中等症や重症で同大病院に入院した新型コロナ患者約400人のウイルス量を調査。糖尿病や関節リウマチ、脳梗塞の既往歴を持つ人は、既往歴のない人よりもウイルス量が多く、がんなど他の疾患を含め3つ以上の既往歴が組み合わさった場合は、少なくとも5倍以上多い。
このように特定の既往歴を持つ人のウイルス量が多い理由は「持病による免疫系の異常が原因ではないか」と分析しており、検査を複数回行った患者の中には、初回より2回目のウイルス量の方が多かったケースも。感染後時間がたってからウイルスが増える人もいることが分かったという。ウイルス量が多い人は自分の症状が重くなくても、周囲への感染力や他人に感染させた際の重症化率が高くなることが知られている。



新型コロナの従来株は1人の感染者が平均2~3人程度にうつすとされているが、ベルギーの介護施設で起きたクラスターでは、訪問してきた男性が入居者や職員計100人以上に感染させた疑いも出ている。この男性も「スーパースプレッダー」と考えられ、特定の既往歴のある感染者が入院した際、個室に隔離したり、担当者に特別な注意を払うよう呼び掛けたりするなどの対策を講じることが必要である。
これからは軽症者も軽く考えずに、体を休めるほうが良いのではないだろうか。

参考
東京都 コロナ 16人死亡 1万5525人感染確認 7日連続前週下回る
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220215/k10013485131000.html
糖尿病や脳梗塞でコロナウイルス量増加、「スーパースプレッダー」の一因か
https://news.yahoo.co.jp/articles/d65c5bbf70d5832be15f462832034afa0333a818
急速に広がる「オミクロン株」の次には、どんな変異が起きるのか:研究結果から見えてきたこと
https://news.yahoo.co.jp/articles/3518a1d33ad40c3bc95e4e2a80af2bba42cf5553?page=1

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