「カプサイシン」といえばトウガラシの辛味成分だが、中国とスウェーデンの合同研究チームが、ペロブスカイト太陽電池の変換効率を19.1%から21.88%に強化することを発見し、論文を発表した。
現在、一般に販売されている太陽電池のほとんどは「シリコン系太陽電池」で、そのエネルギー変換効率(光を電気に換える割合)は14~20%程度が一般的。シリコン系太陽電池は、理論上29%の変換効率が限界と言われているため、より変換効率の高い素材を世界中が研究している。
世界一のモジュール変換効率40%超を目指す、太陽電池開発中
https://www.nedo.go.jp/hyoukabu/articles/201111sharp/index.html
「ペロブスカイト太陽電池」は、「桐蔭横浜大学」の日本人研究者らが発明したもの。メリットは、高いエネルギー変換効率と低製造コストで、シリコン系以外の素材として現在注目を集めている。デメリットは、「製造時にペロブスカイト構造が崩れてしまう」という問題があり、構造解析と実験から「カプサイシン」が有用であることを発見した。
「カプサイシン」といえば食品のイメージがあるが、太陽電池パネル製造に豆腐の原材料である「にがり(塩化マグネシウム)」が役立っていることを、2014年にジョン・メジャー氏が発見し解説している。
Direct Observation on p- to n-Type Transformation of Perovskite Surface Region during Defect Passivation Driving High Photovoltaic Efficiency: Joule
https://www.cell.com/joule/fulltext/S2542-4351(20)30608-5
Solar panels capture more sunlight with capsaicin – the chemical that makes chili peppers spicy
https://theconversation.com/solar-panels-capture-more-sunlight-with-capsaicin-the-chemical-that-makes-chili-peppers-spicy-152901
今回の研究でも、ペロブスカイト太陽電池の製造過程で、ペロブスカイト構造の前駆体にカプサイシンを混入させることで、光エネルギーから電気への変換効率を向上させ、「ペロブスカイト太陽電池」では世界最高水準の電力変換効率を達成。室温で800時間保管した後でも初期の変換効率の90%以上の変換効率を維持した。
今回の発表が、ペロブスカイト太陽電池の継続的な能力向上に役立つかは多くの時間と実験が必要だが、高いエネルギー変換効率と低製造コストは魅力。早期の開発が進み、安価で設置できるようになることを願っている。
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