大谷翔平の本塁打王にも影響を与える労使交渉 活躍が期待される選手の行方が定まらない理由

エンターテイメント

昨年12月にロックアウトとなってから2か月あまり。いまだ労使交渉の決着する道筋は見えていない。労使交渉が難航する中、選手会側は弁護士を交えて会合を開催するなど、球団オーナー側に対して徹底抗戦の構えだ。

楽観的な大リーグコミッショナー

球団オーナー側が連邦調停局に仲裁申請したが選手会側が即座に拒否。労使交渉が泥沼化する中、ロブ・マンフレッド・コミッショナーが、現地時間(2月10日)に開いた記者会見で、日程通りのシーズン開幕に対し「私は楽観主義者だ。スケジュール通りにシーズンが開幕できるように労使交渉が合意できると信じている。スプリングトレーニングに関しても、現時点で何の変更もない」と語った。



会見に先立ちコミッショナーはオーナー側とオーナー会議を開き、新労使協約合意に向け選手会に提示する新たな対案を協議しているという。そこで示された対案を元に、2月12日に選手会との交渉に臨む予定。2月中旬からスプリングトレーニングをスタートさせるには、2月12日の労使交渉で合意しなければ不可能なため、オーナー側が提示する対案に自信を持っていると思われる。

ユニバーサルDH制採用が決定か

オーナー側の提示する案の一つが「ユニバーサルDH制」の導入。これは、ア・リーグだけでなくナ・リーグでもDH制を採用することを認めるものだ。

同制度は、新型コロナウイルスの影響により短縮シーズンで実施された2020年に、選手の負担を考慮して試験的に導入されていたもので、選手側にも好評だった。選手会側は2021年にも同制度の採用を求めていたが球団オーナー側が拒否していたものだが、選手会側に譲歩した形となっている。選手会側が今回の交渉項目の1つであり、2月12日での合意にかかわらず、今シーズンから最低でも5年間は同制度が導入される。選手会側の歓迎が予想される。

大谷選手の打席数が大幅に増加する!?

大谷翔平選手にとってもこの方針は朗報。昨シーズンのナ・リーグ主催交流戦ではDH制が使えないため、代打出場のみに限られていたため、本塁打争いでは大きなハンデとなっていたが、「ユニバーサルDH制」の導入により、大谷選手の負担を増やすことなく、より多くの打席数を与えることが可能となる。



昨シーズン、本塁打争いをしていた3選手の打席数を比較すると、大谷選手が639(そのうち四球数は96)、ゲレロJr.選手が698(同86)、ペレス選手が665(同28)であり、大谷選手が他の2選手と同程度の打席を与えられていたなら、本塁打王のタイトルを獲得できていたかもしれない。さらに本塁打を量産することになれば、打席数の増加に伴い、四球数も増えていくことも考えられる。昨シーズンの最多四球数は大谷選手が96、MLB全体でフアン・ソト選手が145、ア・リーグはジョーイ・ギャロ選手の111、最多四球数も視野に入る。

MLBで薬物検査がストップ

開幕に向けての不安要因は労使交渉だけではない。影響は契約関係だけでなく、多方面に及んでいる。AP通信によると、通常はオフの期間も実施されている薬物検査がストップしており、選手の薬物使用についての懸念が増加している。

5年間47973件の検査中、7327件がオフシーズンに実施

AP通信は、共同薬物プログラムの内情に詳しい2人からの情報として報道。ロックアウトとともに薬物協定の期限が切れたため、約20年間で初めて選手に対するステロイド検査が止まっている。MLBでは2017~2021年に計47973件の検査が実施され、そのうちの7327件はオフシーズンに行わたものだという。
米アンチ・ドーピング機構のCEO、トラビス・タイガート氏が「フェアプレーを重んじる全ての人にとって、これは重大な懸念事項だ」と訴え、テストステロンのゼリーや経口カプセルを使えば、数週間で体から(テストで検出される成分を)出すことができるという。現時点では使用しても発覚しない“歯止め”のない状況となっている。



これまで何度もメジャーで問題となってきた薬物。今年1月には、薬物使用が疑われてきたバリー・ボンズ氏やロジャー・クレメンス氏が候補最終年でも殿堂入りを果たせなかった。嫌悪感が強まる中、問われるのは選手たちの自制だが、一度始めたら止まらないのが薬物の怖いところ。ロックアウトが明け、選手たちが通常シーズンにもどって来られるかも注目していかなくてはならない。

米政府も乗り出す事態に

難航している労使交渉に対し、米メディア「ポリティコ」のジョン・レミア記者は2月7日(日本時間8日)、ウォルシュ長官が交渉に関与することを厭わない姿勢を見せたと伝えている。
米スポーツ専門メディア「ジ・アスレチック」では、スポークスマンを通じたウォルシュ長官のコメントを掲載。「私は進行中の契約交渉について、選手会、機構の両方と話をしており、両者に積極的な関与を続けるように促している。あらゆる業界のあらゆる契約交渉と同様、私は労働者、雇い主両方にとって最適な結果に繋がる生産的な会話を促進する用意がいつでもできている」と述べている。
162試合によるフルシーズンが3月31日に開幕することができるのか。世界の注目が集まっている。

参考
大谷翔平の本塁打王奪取がさらに現実味?!今季からのユニバーサルDH制導入が決定的に
https://news.yahoo.co.jp/byline/kikuchiyoshitaka/20220211-00281598
ロックアウトの影響で起きた「重大な懸念事項」 MLBで薬物検査がストップ
https://news.yahoo.co.jp/articles/53012954937029de5b7e6731d591a9a9edf9d3bf
【MLB】労使交渉難航で米労働長官が支援申し出 混迷のメジャーリーグに政府が仲裁も
https://news.yahoo.co.jp/articles/cc218e72197094eaf879b166f574b7a3de125497
MLB労使交渉で選手会は“団結”も…ファンはうんざり「お金のことばっかり」
https://full-count.jp/2022/02/10/post1183703/

コメント

タイトルとURLをコピーしました