新型コロナの経口治療薬「モルヌピラビル」が臨床試験(第2a相試験)でウイルス量低減効果を発揮

健康

AFP通信が3月7日(日)に伝えたところによると、米製薬大手メルク(Merck)と米バイオ医薬品企業リッジバック・バイオセラピューティクスは6日、共同開発する新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の経口治療薬「モルヌピラビル」の臨床試験(治験)で、この薬を5日間服用した後、患者の体内のウイルス量を大幅に減らす効果が示されたと発表した。

モルヌピラビルとは

「モルヌピラビル(英: Molnupiravir、開発コード:MK-4482、EIDD-2801)」は、インフルエンザ治療のために開発された経口活性がある実験的な抗ウイルス薬で、ウイルスのRNA複製時に複製エラーを生じさせることで抗ウイルス作用を発揮する薬である。SARS、MERS、SARS-CoV-2などのコロナウイルスに対する活性も実証されている。
この薬の開発段階で、類似薬が変異原性(先天性欠損症を引き起こす)を持っていることが告発され、安全性に疑問を持たれたが、その後、モルヌピラビルの毒性試験が実施され、データが米国と英国の規制当局に提供されたことで、2020年春からのヒトを対象とした安全性試験の実施が認められ現在に至っている。
wiki モルヌピラビル
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A2%E3%83%AB%E3%83%8C%E3%83%94%E3%83%A9%E3%83%93%E3%83%AB


ウイルス量低減が重要な理由

新型コロナウイルスの本当の怖さは、罹患していても分からないことであり(潜伏期間は2日から14日)、体内のウイルス量が増えて発熱やせき、息苦しさなどの症状が現れる前(無症状)でも、次々と感染させる力を持っていること。特に今は感染力が強い変異型の割合が上がっており、体内のウイルス量を抑えて、いかに他人を感染させないかが新型コロナを終息させるカギとなる。

進捗状況

新薬の承認までには3段階の臨床試験があり、今回の第2a相試験は、入院していないCOVID-19有症状者202人を対象に実施された。リッジバックによれば、安全性に懸念はなく、報告された4件の重篤な有害事象のいずれも治療薬に関連したものではないと判断された。
参考:COVID-19(MK-4482-001)の入院中の成人参加者におけるモルヌピラビル(MK-4482)の有効性と安全性
https://ichgcp.net/ja/clinical-trials-registry/NCT04575584
第2a相試験は5月に終了する予定。同社の研究開発部門責任者のディーン・リ氏は電話会見で、初期の治験結果は第1・四半期中に報告できる可能性があると述べている。また、「モルヌピラビル」が新型コロナウイルスの変異株に対しても有効かどうかを検証する必要があると説明したが、作用機序に基づけば全てのウイルス株に効果があるはずだと語った。同氏によると、メルクは2021年末までにモルヌピラビルを1000万回分生産する見込み。
今後の開発推移を見守りたい。

参考:
https://www.afpbb.com/articles/-/3335353
https://news.yahoo.co.jp/articles/cacbcf11cb14db42acc0553890c62a765da6dcd9
https://jp.reuters.com/article/health-coronavirus-merck-co-idJPL4N2KA520

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