トヨタの全固体電池開発などの総投資額は1.5兆円!トヨタが本気でEVへシフトか

テクノロジー

2021年7月14日、ヨーロッパ連合(EU)の執務機関であるヨーロッパ委員会(EC)のフォン・デア・ライエン委員長が、ベルギーのブリュッセルにあるEC本部で記者会見し、「欧州グリーンディール」に関する法案について発表した。この中で2035年までにエンジン車新車販売を禁止する方針を表明しており、すでに北欧では2016年2月ごろからガソリン車やディーゼル車の新車販売を禁止している。自動車領域でのCO2排出量を2030年までに2021年比で55%削減、そして2035年までに100%削減という厳しい内容だった。
これにより、ヨーロッパでは2035年までにガソリン車とディーゼル車の販売は禁止されることになるとともに、内燃機関とモーターを組み合わせたハイブリッド車(HEV)についても事実上、販売禁止となる。そうなると、2021年2月時点で累計1700万台のハイブリッド車を生産してきたトヨタには大きな打撃であり、自動車産業の巨人と称されるトヨタといえどもEV化は避けては通れない。



日本の乗用車市場の約4割がハイブリッド車で占められており、日系メーカーが持つ自動車技術の真骨頂であるハイブリッド車といえどもEV化への開発ロードマップを大幅に繰り上げる必要が出てきた。
今回の欧州グリーンディール」に関する法案の中で、ライエン委員長は「我々の化石燃料に依存した経済活動は限界に達している」と言い、「(クリーンエネルギーや循環型社会などの)新しい社会体系に大きく変わる必要がある」と改めて訴えている。

トヨタは「水素」ではなかったのか

これまでトヨタは電気自動車に対して後ろ向きと見られていた。CMでも「水素自動車」によるカーレースの様子が目につく。しかし着実にEVの時代を想定した技術開発もおこなっている。

全固体電池とは

これまでの電池にはイオンを運ぶ役割を持つ「電解質」という液体が入っている。乾電池やリチウムイオン電池にもジェル状の電解質が入っているため次のような問題がある。

①電解液に有機溶媒を使用しているため、高温で発火する危険性があり、過充電や過放電でも発熱の恐れがある。
②充電にある程度時間がかかる
③使用状況により電池性能が劣化する
④低温になるとイオンが動きにくくなり性能が落ちる




そこで液体やジェル状の電解質を固体に置き換えた電池が「全固体電池」

①可燃性の高い電解液を使わないため発火のリスクが低い
②大きな電力で充電しても発熱リスクがあまりないため、超高速の急速充電に対応できる
③既存のリチウムイオン電池よりもエネルギー密度が高いため、小さな電池でも大きな電力を蓄えることができる
④氷点下の低温や100℃近い高温でも安定して性能を発揮できる
⑤固体電解質では副反応が起こりにくく、より長寿命の電池が実現できる

技術革新に向けて本気のトヨタ


トヨタ自動車は9月7日、カーボンニュートラルへ向けた2030年までのトヨタの電池戦略を説明する「電池・カーボンニュートラルに関する説明会」を開催した。
その中で、

・世界初となる全固体電池搭載車両でナンバーを取得して、試験走行を開始
・全固体電池については特性を考えてハイブリッド車から投入する

ことを明らかにしている。



さらに2022年半ばには新型EV「TOYOTA bZ4X」を投入することも。電池の製造ラインを見直し、2020年代の後半には200GWh以上を目指すことを明らかにした。これにより、電池の供給体制の整備と研究開発の投資額は2030年までに約1.5兆円になると見込みという。
すでに2020年6月に全固体電池を搭載した車両を製作しテストコースで走行試験を実施し、車両走行データを取得できる段階まで来ており、今後もより高性能な全固体電池を開発することで、高出力、長い航続距離、充電時間の短縮、などの開発を続けていくことになっている。

トヨタ自動車 Chief Technology Officerの前田昌彦氏がプレゼンテーションのなかで、

「今後、継続的に各地域のエネルギー事情やインフラ、お客さまの感性、利便性への要求は変わっていくと考えられます。電動車において、クルマと電池は切り離せるものではなく、1997年から電池のグループ内生産に拘り、HEVだけでも1810万台を導入してきたトヨタは、電池開発をグループで取り組んできた自動車メーカーであり、不確定な電動車の未来にも、確かなステップで前へ進んでいきたいと考えています。未来にサステナブル&プラクティカルに適応していくためには、トヨタは、変化への適応力、自らの競争力を高め、もっといい電動車の本質的普及を目指し、カーボンニュートラルに貢献していきたいと考えます」との意気込みを述べている。



最後に

トヨタがこれからの電池開発に向けてプレゼン資料を公開しています。

~カーボンニュートラル実現に向けて~
 トヨタの電池の開発・供給

これからも自動車産業の巨人「トヨタ」はワクワクする車を作ってくれると思います。
トヨタの皆さん、頑張ってください。

参考
トヨタ、全固体電池は特性を考えハイブリッド車から導入へ 2020年代前半に量産車投入で、電池関連の総投資額は1.5兆円
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1349279.html
次期型「プリウス」は超絶進化? トヨタが「全固体電池」に全集中する訳とは
https://kuruma-news.jp/post/328618
『全固体電池』が電気自動車普及の切り札?〜基礎知識から最新情報まで整理してみた
https://blog.evsmart.net/electric-vehicles/all-solid-state-batteries/
wiki 全固体電池
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%A8%E5%9B%BA%E4%BD%93%E9%9B%BB%E6%B1%A0
2035年、欧州で「ハイブリッド禁止」となる意味
https://toyokeizai.net/articles/-/441821

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