塩野義製薬の手代木功代表取締役社長が５月10日の決算会見で新型コロナワクチンの臨床試験開始と年内供給を目指す考えを発表した。
塩野義製薬株式会社は、大阪府大阪市中央区道修町に本社を置く日本の大手製薬企業であり、処方箋医薬品と医薬品を主とする製薬会社である。公式の社名略称としてシオノギ製薬、あるいはシオノギが用いられている。社名の由来は、創業者の名前に因むもので、ロゴマークは、天秤で薬量を正確に計量するために用いられた分銅に由来している。
シオノギが感染症治療薬を取り扱う様になったのは相当古く、1910年に学会発表された梅毒治療薬「サルバルサン」を、その年の末には開発元の独・ヘキストから輸入販売している。その後ペニシリンの開発・製造に着手したが資金不足等により1949年に開発を断念する。しかし抗菌薬そのものの基礎研究はそれ以降も継続され、現在では抗生物質最大手として知られている。また2010年7月に“抗菌薬の適正使用を推進することで、耐性菌の出現を抑制し、既存抗菌薬が有効活用できる環境作りを支援する”との目的で、「感染症薬適正使用推進室」を創設や医薬研究センターを置くなど、世界でも数少ない感染症治療薬の開発企業である。
現在の新型コロナウイルスに対する治療法はワクチン接種が主流で、経口薬はアメリカのファイザーやメルクが開発中、スイスの製薬大手ロシュも米バイオベンチャーのアテアと組んで開発中、日本ではKAICO、九州大学、鹿児島大学が「経口ワクチン」を共同研究し特許を出願、オンコリス、鹿児島大学と共同で治療薬の開発に着手、関節リウマチの治療薬として使われている「バリシチニブ（経口薬）」をコロナ治療薬として適応拡大など、世界でも開発にしのぎを削っている。ワクチン注射の難点は、-20度～-70度という低温で保管したり、輸送も振動を与えないようするなど、細心の注意が必要で、極めて扱いづらいものとなっている。
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塩野義製薬が考えている治療薬は、遺伝子組換えタンパクワクチン。このワクチンはインフルエンザワクチンの延長で考えられるような安全性が特徴で、ホテルや自宅等で、通常の冷蔵ルートで保存ができ、必要なときに使えるものを想定している。特に軽・中等症の患者が重症化することを防ぐことに重点を置いている。経口の新型コロナ治療薬としては、ファイザーがプロテアーゼ阻害薬について、３月から臨床試験を開始しており、半年間で緊急使用許可を取得する計画を立てているが、塩野義製薬もほぼ同じような開発計画を考えていると述べている。大規模フェーズ３を並行させながら、国内では条件付きで承認で９月末までの臨床試験を行い、今年度中に緊急使用許可を取得するなどして実用化を目指しているという。
英国では新型コロナワクチンを２回接種した人でも数万人単位で新型コロナを発症している。ワクチンの接種をしても100％感染を防げるわけではない。このことから感染が疑われる場合、かかりつけ医に行くとすぐに投薬できる薬が重要であり、自国内でいつでも供給できる体制を構築することが次のパンデミックを起こさせないためには重要であると考える。そういった意味でも塩野義製薬が純国産ワクチン開発に積極的に乗り出すことはとても重要である。またその他の企業や大学も研究開発を進め、競争の中で効果の高い経口治療薬を早期に供給できることを願っている。
最後に塩野義製薬が開発中の純国産ワクチン治療薬は、早ければ２１年中に供給を開始できるとの見通しで厚生労働省による承認が得られれば、２１年中に１０００万人分以上を量産できるという。多くの人が期待して待っている。
参考
初の純国産ワクチンか、塩野義製薬「早ければ年内供給」…承認なら１千万人分以上を量産可能
https://www.yomiuri.co.jp/economy/20210510-OYT1T50185/
塩野義製薬・手代木社長 新型コロナワクチンは年内供給目指す 治療薬は今秋までに臨床試験開始へ
https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=71077
wiki 塩野義製薬
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A1%A9%E9%87%8E%E7%BE%A9%E8%A3%BD%E8%96%AC
「コロナ治療薬」はどうなっている？ 有望視される4つの候補とは
https://news.yahoo.co.jp/articles/371872ed526330d68800f3eb12b0d40bd9bdb3c7?page=1
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