京都大学に所属していた高木佐保・日本学術振興会特別研究員(比較認知学、現・麻布大特別研究員)が飼いネコ50匹の実験で、ネコが飼い主の位置を頭の中に描いて行動する方法を身につけていることを解き明かした。研究成果は科学誌「プロスワン」(https://doi.org/10.1371/journal.pone.0257611)に掲載された。
いくら呼びかけても、ペットのネコがそっぽを向いて振り向いてくれないことがよくある。しかしそれは飼い主を嫌っているわけではなく、ネコなりの気の使い方であることが、京都大学などの研究で分かった。
「ネコが周囲の世界をどのように認識しているかを知る」ことを中心に研究を始めた。まずネコの耳に着目。ネコの耳には20種以上の筋肉があり、左右別々に動かせるため、視覚に頼らず聴覚を生かして生活しているのではないかと考え、検証にはペットやネコカフェのネコを50匹で実験を行った。
②あらかじめ録音しておいたネコの名前を呼ぶ飼い主の声を室外のスピーカーで5回流す。
③間髪入れずに6回目の声をネコから4メートル以上離れた室内に流す。
②突然近くで飼い主の声が流れると驚いた様子を示し、多くのネコは周囲を見回す。
③同じ実験で、6回目に他人の声を流してもネコはそれほど驚かない。
④同居している他のネコの「ニャー」という鳴き声や単なる電子音を同様に、繰り返し流した後に突然近く鳴き声や電子音を流しても、ネコはほとんど反応を示さなかった。
ネコは流される音で位置を把握し、それを頭の中でイメージし状況判断していると思われる。そのため頭の中のイメージと違うとこから飼い主の声が聞こえることで混乱を起こすことが分かった。
このことから、ネコは頭の中に飼い主の位置を常にイメージし把握することで安心感を感じていると考えられる。
ネコに声掛けをしたり名前を呼んだりしても、なぜか「プイッ」とよそを向いて無視。そんなことがよくある人も多いはず。
理由としては
飼い主とても大切なパートナーであることをネコは理解している。ネコは単独行動を好むが、ネコも甘えたいときや寂しい気持ちになることもあり、それがネコが”ツンデレ”しているように見える要因となっている。
甘えたいときに「ニャーン」といっても飼い主がその欲求に応えてくれなかったり、ふだんからあまり構ってくれたりすることが少ないと、ネコのプライドが傷つけられ、そっぽを向いたり、あまり懐かなくなってしまったりすることも。
②ネコのお世話がきちんとできていない
飼い主がネコの世話をしているつもりでも、ネコにとっては「満足できていない」可能性も。例えば、「トイレが汚い」「エサが気に入らない」「エサが足りていない」「水が汚れている」「寝場所などのスペースがない」など、環境衛生や満足ができない環境では不満を持つことに。
③遊んであげられていない
ネコ科の動物は、走り回っておもちゃで遊ぶことで、狩猟本能を満足させ、ストレス発散を行います。しかし、飼い主にネコじゃらしやボールで遊んでもらえない、満足に遊べず、「退屈、もういい・・」と拗ねることもあるのではネコは1匹で遊ぶこともあるが、飼い主との繋がりを感じていたいもの。目安として、1日に10〜15分程度遊んであげると寂しい態度を止めるかも。
④フェロモンの匂いをつけたい相手
ネコはヒゲの付近や尻尾の付け根にフェロモン腺があり、縄張りや独占したい大切なものに擦りつける。それは飼い主にも向けるのは大切な存在だから。
研究を行った高木高木佐保研究員は「ネコは見えない場所に飼い主がいても、心の中でとらえています」と話す。今後は、名前など声の内容を理解しているかを調べたいと話している。
同じペットでもネコはイヌと比べて、心理や行動についての研究報告が少ない。ネコを飼っている人は、ネコの行動を受け止め、日頃から声掛けやスキンシップをとる時間を確保していきましょう。
参考
そっぽ向くネコ、実は飼い主を気にかけている 50匹の実験で発見
https://www.asahi.com/articles/ASPDF53HRPD7PLBJ001.html
猫がそっぽを向く5つの理由
https://nekochan.jp/behavior/article/9463
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